忍耐と希望(ローマ8:25)の原点への旅 その5−8月31日(土)から9月4日(水)ー

忍耐と希望(ローマ8:25)の原点への旅 その5−8月31日(土)から9月4日(水)ー

1963年8月12日、ニューイングランドのGordon Divinity School・ゴードン神学院へ向け横浜を出航。
 2週間の船旅とニューイングランドに到着直後、ゴードンでの生活の日々の一口日記メモを、ちいろば聖書集会の矢倉(鮫島)光子姉が打ち出してくださいました。
 2018年6月下旬の日々、今、クリスチャントゥデイを中心に与えられている忍耐と希望(ローマ8:25)の旅を一歩深め、一段の進展に備えるため、半世紀以上前忍耐と希望(ローマ8:25)の原点への旅、その一口日記がそれなりに用いられるよう願う。

★8月31日(土)
 朝10時頃、エドウィン7山内夫妻(ハワイ出身、当時博士課程で研究、後年高名な新約考古学学者に)が迎えに来てくれる。
 一日をボストン、特に学術関係の諸所見学に連れて行ってくれる。
ハーバード大学では、図書館の完璧なまでの充実と、博物館の規模の大きなさに感心する。夏期学校は、多くの人々に開かれた門であると云われる。このような所で、短期間であっても学ぶ機会が与えられる事を願わざるを得ない。M.I.T.(マサチュセッツ工科大学)は外観のみ、Brandeis Universityは成長期にある大学として、特に興味を持つ。ユダヤ教カトリック教、プロテスタントの各礼拝堂が池を中心にして、互いに対等な関係を示しつつ位置していたのは、いかにもこの大学の性格を暗示しているかの如くである。
 有名なボストン美術館で、日本関係の作品、特に浮世絵を見た時の不思議な思いは忘れられない。アメリカという強大な、又矛盾した国のボストンで、幾世代か前に、祖国の人々が描きあげた作品に直面するとは。どうしても、もう一度見に行かねばならない。一日中、ボストン中を走りまわって、疲れきってWallyの家に帰り着く。

★9月1日(日)
 朝の礼拝にNorth ReadingのFirst Baptist Churchに出席する。Announcementの時に証しをする。出来る限り誇張のないように注意したつもりであるが、やはり思はず知らず、聞き手に取り入るように話している自己を見い出す。
 幾人かの人々に紹介される。特に印象に残った人と云えば、写真をサイパンで拾った人である。午後は、Park StreetのFellowship Meetingに出席、寄居の為に祈り献金してきてくれた人々に直接会う。夕礼拝は、ウェストミンスターチャペルの牧師の説教であった。かなり年輩の方であったが、その説教は実に力強いものであった。不信仰は盲目なりとの主張が、いかにも論理的な必然性として語られている。大きな祝福ではあった。

★9月2日(月)
 朝早くに、プリマスに向ってドライブに出かける。非常に素晴しい青空の下、森と湖が美しく調和している。
 Betty(ジーンズ宣教師の姉)と彼女の友達が四十代の恋人の役割を、ほのぼのと演じている。プリマスは、歴史上重要な地点であるのは勿論ながら、美しい場所でもある。メインフラワー2号の内部を観察する事によって、当時の人々の生活内容が想像される。
 自分にとって、何よりも印象深かったのは、プリマス・ファザーとインデアンの関係である。好意をもって迎えたインデアン達は、遂にプリマス・ファザーの後裔に滅ぼされるにいたるのである。その歴史的事実についてよく知りたい。インデアンとの友好的な関係を記念して、インデアンの像が立ち、又このマサチュセツは、インデアンの像を州旗としている。
 しかし、不思議な事に、立派な像の立っている公園のあたりはインデアンの姿は全く見あたらない。そればかりでなく、インデアン像を州旗とするマサチュセツにどれだけのインデアンが存在するのであろうか?彼等は全く殺されつくしたのか。インデアン、滅ぼされゆくもの、滅ぼされつくした人々かか。黒人問題と共に考えさせられる主題である。

★9月3日(火)
 午前中は、洗濯。
 午後ゴードンへフランクに会いに行く。フランクの部屋に滞在する事に決定。Ken、Frankと共にボーリングに行く。非常に興味のあるゲーム。始めてのPlayerとしては優秀な成績であった。
 夕食は、Mrs. Sweetの家に招待されて天麩羅を御馳走になる。やはり、自分は日本人である。その味に、ここへ来て以来味わう事の出来なかったものを感じる。食後、皆で議論になる。どこの場所でも、絶対と相対、存在と認識、啓示と歴史、形而上学的思索と心理、信仰と学問の問題が考えられており、又考えられなければならぬ事を知る。渡辺公平先生を通して教えられてきた公平学びが、まさに中心的課題から離れていない事実を今さら確信させられる。英語での議論がいかに困難であるかを知ると同時に、又その可能性も確信出来た。

★9月4日(水)
 初めて、一人でアメリカの町を散歩してみる。
以前から感じている事であるが、全くアメリカ(外国)にいる感じがしない。Post Officeで用をおえた後は、午後は手紙を書いたり、寝たりして時間を過す。夕方から、又ボーリングに行く。非常に面白い。137点は、最高に近い点数である。勿論初心者としてではあるが。Frankと種々話す。自己の内部における存在と観念の分離の可能性について考えさせられる。