1990年代、沖縄から、日本女子大の新井明先生への手紙 その8

1990年代、沖縄から、日本女子大の新井明先生への手紙 その8

「頌主
 学年中のご多忙な日々、主のご真実な支えを受け、お励みのことと思います。
 この度も、『インタープリテーション』最新号をご恵送くださり感謝いたします。
 特に五十周年記念号、また第四〇号という節目の号を、四月から小さな、小さな沖縄聖書神学校で、三十年来、渡辺公平先生とお約束していたように組織神学を教え始めようとしているときに、受け取ることを許されました。
D.G.ミラー先生の貴重な報告を、「摂理の神が特別な恵み」との一点を中心に深く教えられながら読まして頂いたところです。『首里福音』の小さな歩みが、私どもの沖縄で生活の一つの恵みの実であることを感謝します。そして、今、伊江島中高キャンプの営みの中から、『伊江島キャンプだより』が誕生した恵みを感謝し、その成長を願っておるところです。
 
 沖縄の教会の課題の底に、沖縄の社会の根本的問題を、私なりに次第に深く感じさせられております。そしてそれは日本全体の底流にあるものに他ならないと考えております。その現実を見失うことなく、いわゆる本土側からの沖縄に対する甘い発言や沖縄側の自らの内部に現存する深刻な問題をともすれば直視せず、外部からの一方的な圧力(それがどれ程事実であっても)のみを取り上げ、自らの責任をともすれば逃れる傾向を認めつつ、中高生と離島の結びつきに、主なる神への望みを持ち続け歩みを継続したい、その思いが益々強くなっているところです。
 同労の方々と一緒に、「心を開いて」、主の御前と兄弟の交わりにおける「真実」を求めつつ、小さな歩みの新しい段階へ四月からと備えております。
 このとき、机から手のとどく所に並べられた、『インタープリテーション』の一冊一冊が、どんなに大きな励ましでしょうか。
新井明の尊いお働きの上に、益々の祝福を願いつつ。
 九七年二月十一日 宮村武夫 
新井明先生」