月(げっ)桃(とう)通信No12 2019年4月15日 

                                  石原艶子

「軍事大国への道」

◎イエスは言われた「剣をさやに納めなさい、剣を取る者は皆剣で滅びる。」(新約聖書マタイ伝)

◎非暴力とは何か。それはすべての人を等しく愛することの出来る力の事。だから子供も女性も年老いた人もこの非暴力というパワーの担い手になれる。(ガンジー魂の言葉から)

 

去る3月5日、日本友和会(FOR)の友人三人と共に、ずっと願っていた宮古島に行くことが出来ました。日帰りではありましたが現地の闘いのリーダーであられる、ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会の清水早子さんと日キ教会の牧師、坂口聖子さんの並々ならぬ御愛労によって、お二人の熱きお心からほとばしり出るお話を聞かせて頂きながら、現地を案内して頂きました。現地に立ちこの目で見て、漠然と想像していた世界がパッと現実として目の前に広がった時、そこに見える自衛隊の軍事基地の存在に衝撃を受け言葉を失ってしまいました。スカイブルーの美しい海に囲まれた農業と観光の島、平和な宮古島に巨大な軍事基地が姿を現し、急ピッチで工事が進んでいるこの現実を直視しなくてはなりません。造られた基地の中に住民が大切にしていた拝所があり、その緑の森は無残にも小さく削り取られ、自由に出入りしてお祈りする自由さえも侵害されていました。何棟もの宿舎が立ち並び、いろいろの建物がまだまだ今後造られ、これで半分とのこと。私たちが本島で見ている米軍基地と何ら変らない巨大な軍事基地が急ピッチで造られていました。宮古島琉球石灰岩で出来た島で、軟弱地盤であり、地下には無数の空洞があり、断層も走っていますが、それらはおかまいなし嘘とごまかしで弾薬庫や地下施設も造られています。工事の現場ではベトナム人が日給わずか4500円で窓も目隠しされた作業員宿舎に閉じ込められ、労働環境、生活環境はどうなのか防衛省は業者任せで実態を把握していないとは‼私の中で、アジアを侵略し、強制連行、強制労働のこの国の歴史と重なり許し難い思いでした。住民への説明も全くないままにミサイルが持ち込まれていることが判明し、住民の反対抗議に押され、いったんは撤去せざるを得ませんでしたが、いずれミサイル基地は造られ、海兵隊、空母、戦闘機が配備されるでしょう。レーダー基地からは深刻な電磁波被害があり、何と欧州の2000倍の恐るべき数値は住民への健康被害は甚大だと思います。また宮古島はすべて地下水なので、水汚染が心配です。住民よりも軍事優先の実態、軍隊は決して住民を守りはしません。宮古島の現実を直視した時、この美しい島が安倍政権によって軍事基地化されていく現実にやりきれない怒り、悲しみ、悔しさがこみ上げてきて胸がいっぱいになりました。そして宮古から辺野古が、日本が、より鮮明に見えてきました。辺野古もまた、民意を無視して先が見えなく何があろうとも宮古で見た様に、なりふりかまわず埋め立てを強行していくでしょう。これが安倍政権であり日本なのです。既に奄美大島ではミサイル基地が開設され、奄美駐屯地は奄美警備隊の呼称で三月末記念セレモニーが行われています。石垣島にも同じことが計画され、住民への説明もないままに強行されようとしています。こうして戦後74年、自衛隊基地のなかった平和な南西諸島は奄美宮古、石垣と引かれた防衛ラインの下に急ピッチで軍事基地化が進み、戦後守ってきた憲法9条も危くなりいよいよ自衛隊が軍隊として大手を振って、私たちの生活を脅かすようになりました。台湾に近い与那国島では既に1年前自衛隊基地は完成し、行政は自衛隊人口の増加により選挙も支配され、国の統治下に置かれています。何故ここまで急ピッチで安倍政権は南西諸島の軍事基地化を進めるのでしょうか。アメリカは自国の金を使わずに、日本の自衛隊によって南西諸島防衛ラインを守らせていざという時はアメリカに代って日本に戦争させようとしているのです。安倍政権が何故、憲法9条に自衛隊を明記することを急ぐのか、その背景にアメリカの意向が見えてきます。これからは空自、米軍、海自と三者による軍事訓練により、空も海も陸も汚染され、沖縄の人々の生活環境は戦後74年にして尚悪化し続け、ここにまた新たな琉球処分、沖縄捨て石作戦が行われているのです。沖縄の民意を踏み潰し、欺瞞と謀略、弱き者を助けず一機100億円もの戦闘機を100機購入し、防衛費は5兆~6兆円、正義は消え失せた日本。新元号にさわぎ立ち、天皇を利用して右傾化へ軍事大国へと驀進しているこの国。教育は変えられ、多様性と自由な発想は否定され、画一化された、国に従う人間を作ろうと進み出しています。沖縄から見える私達の国、日本の危機的状態が本土の人々には見えているのでしょうか。沖縄の人々がは〝わじわじー〟しています。何度でも問いたいです。「何故安倍政権をこんなに長く許しているのですか」と。

 

★私たちの希望のシンボルだったジュゴンの一頭が傷だらけの痛ましい姿で、北部の浜に打ち上げられ死んでいました。残りの二頭の姿も見えなくなっています。誰がジュゴンを殺したのですか。この海を埋め立てて基地を造る人間の悪がジュゴンを殺したのです。大浦の海を悠々と泳ぐ海がめたちの姿があります。これ以上工事が進めば、海がめはどこで生きるのでしょうか。私達は決して叫ぶことをやめはしません。非暴力で闘い続けます。それは人間だからです。海に土砂を投入しても私たち人間の心を埋め立てることは決して出来ません。

「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向って剣を上げず、もはや戦うことを学ばない。」(旧約聖書イザヤ書

この神の御心が必ず成る日を信じて叫び続け、祈り続けたいと思います。

宮古島の連絡先

ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会(090-9784-1545)

ブログ名:琉球弧の軍事基地化に反対するネットワーク

★来る21日は、沖縄第3区(うるま・沖縄・名護・北部)の衆議院議員補欠選挙です。相手候補は辺野古推進安倍官邸直属の女性。負けたら今までの民意は全て否定されてしまいます。絶対負けられない選挙です。

★沖縄は月桃の花が真っさかり、何とも優雅な感じの花です。葉はおもち、ジューシーごはんを包んだり、香りを楽しみます。

★私は今月25日から28日辺野古の仲間たち30名と共に「韓国ピョンテク基地と38度線人間の鎖」に参加します。次号にて報告します。