留学中(1963年―1967年)、母典子からの手紙、先のものに加え、今回新たに5通、その1
留学中(1963年―1967年)、母典子からの手紙、先のものに加え、今回新たに5通、その1
★母典子は、1970年10月25日、50代の半ばで死去しました。50年近く前のことです。しかし矢倉光子姉が打ち出してくれた手紙を読むと、母の声が聞こえるようです。
1964年夏
「其の後如何お過ごしですか。今こちらは毎日暑い日が続いて居ります。でも一同元気に過して居りますから御安心下さい。
子供達も夏休みになって毎日それぞれ遊ぶ事に熱中して居ります。三郎(末弟)も成績が余りよくないので困ったものですが、本人が全然やる気がないのですから、何とも仕方がありません。能力に応じた事をさせるより仕方がないでせう。先日受け持ちの先生の処へ参りまして家庭教師の事頼んで来ましたが、余り期待は出来ないと思って居ります。
昨日三越から薬品とインスタント食品少々送りました。薬も具体的に何処と何処が悪いか解りませんので先方に聞いて保健剤として用ひられる様なのを送って見ました。アリナミンと肝臓薬と一緒に飲めばよいだらうとの事です。痔薬もどんな風かと聞かれましたが解りませんので軟膏と座薬と入れて貰いました。使って見て良い様なら又送る事としますが、何としても日数がかかる様なので役に立つかと心配です。航空便なら早いでせうが、それならそちらで求めた方が安いのではないでせうか。
君代さんの話では学校で食事をせづ、自分でするとか。インスタントラーメン等で栄養が取れますか。食事としては五個や十個では仕方がないでせうから、一箱位送る様にでもするのですが、そんなものばかりで過してはと心配してゐます。経済的に苦しい様ならそれはそれで考えなくてはなりませんから、よく様子お知らせ下さい。
衣類等は間に合ってゐますか。今度はいつ送金したらよいのですか。家の建築で株も手放してしまいましたので、配当も来ない事になりましたから、少し早目に知らせて下さい。
君代さんもよいアルバイトがあった様で喜んで居ります。来春(君代の渡米)と云ってもすぐですから何かと用意して置かねばならないと思います。
義男(次弟)や忠ちゃん(従兄弟)のところもうまくやって居ります。義男も此の処規則正しい生活をしてゐるせいか栄養のせいか大分太って来ました。忠ちゃんのところはもう子供が出来た様で来春二月には産まれる様です。信子(従姉妹)も今話が進んで居りますから、何とかまとまると思います。恵美子(妹)は宝塚に熱中してゐますが、ボーイフレンド熱中するより始末がいいと適当に見逃してゐます。
お父さんも私も今の処体の調子はよい様ですから、御安心下さい。外出するとどうも具合が悪いので、なるべく家にゐる様にして居ります。
では又便りします。
母より