留学中(1963年―1967年)、母典子からの手紙、先のものに加え4通、その3

留学中(1963年―1967年)、母典子からの手紙、先のものに加え4通、その3

★1966年春
大変よい陽気になりました。
其の後元気ですか。私も十九日に退院しました。今度は気候も良いですから、何とかよくなる事と思います。毎日無理をせぬ様注意して居ります。
一月から何だ彼だと云って居りましたから、本当に家の人達には迷惑をかけてしまいました。

 五月は卒業式があるのですか。色々忙しい事と思います。フランス語の参考書解かりませんので、忠ちゃん(従兄弟)に適当のを探してくれと頼みまして、それを買って貰ったのですが、もう着いたと思いますがそれで間に合いますか。
 下着類は船便で出しましたから、まだ着かないかと思います。靴下は若い人達は此の頃夏も黒っぽいのをはくのだそうですが、如何でせう。
 Yシャツは寸法が合はないといけないのでお父さんにあつらへて貰いましたら、日数がかかって後便になってしまったってとても卒業式の時に間に合はないでせう。高級仕立てだとの事ですが、寸法どんなかと心配してゐます。

 君代さんも元気ですか。学校が変われば又色々と生活の方も変わるでせうから、大変だと思います。どうぞ体だけは注意して下さい。

 三郎も中三で先日裏磐梯へ修学旅行に行って来ました。此の頃体だけはどんどん大きくなって十七〇近くある様です。キャラバンシューズを買って来ましたが、余り大きいので一同びっくりしました。勉強の方は其の割にのびないで閉口です。
 美喜子はますますオシャマになって此の頃大分歩く様になりました。誕生日頃は随分歩くでせう。昨日から岩井へ遊びに行ってゐますので家の中が余り静かで変です。お父さんも美喜子がゐなくては淋しくて折角の日曜を寝床で過してゐます。
 日本は之から梅雨の季節に入ります。もう此の三四日は毎日うっとうしい日が続いてゐます。そちらは冬は寒くても入梅時がないとききましたから、之からは毎日快適な日がつづく事と思います。では体に気をつけて下さい。

武夫 君代 様