留学中(1963年―1967年)、母典子からの手紙、先のものに加え4通、その4

留学中(1963年―1967年)、母典子からの手紙、先のものに加え4通、その4

★1966年秋
 大変御無沙汰しました。
君代さんの便りで元気に新しい生活に入った様子を知りました。

 私も今年は春から熱ばかり出して床にばかり就いて居りますので、本当に困ってしまいます。十月も月始めから寝込んでやっと二三日平熱になった処です。そんなでどこへも御無沙汰して居ります。
 先日はお父さん達が寄居へ行って来ました。お父さんも取りあえず帰国しても住むところがあればと大変安心して居ります。
 貴方達も随分苦労をした事と思いますが、後一年のところどうぞ頑張って下さい。先日も前の学校からよく解らないのですが、記念行事をするについての寄附の事の書類が来ましたが、どの位してよいやらこちらで幾らかしたにしても現地では大した額にもならないでせうし、どうしてよいかそのままに返事もしてありません。どうしたものでせう。

 何か珍しいものでも送りたいと思いながら自分では出られず思ふばかりですが、其の内何か送ります。又クリスマスカードはどうしますか。航空便では馬鹿馬鹿しいですから、枚数が解れば適当なのを早目に送れると思いますが。

 美喜子もすっかり大きくおこさまになりました。今も二階をどんどこどんどこかけ廻ってゐます。此の頃外に出たくてうっかりすると大きなサンダルをはいたりして出かけてしまうので油断が出来ません。犬やねこが好きで此の間も犬小屋へ入ってゐたらしいと大騒ぎでした。ねこに少し位ひっかかれても平気です。

 それから今月はじめ信子(従姉妹)のところで男の子が生まれました。大変安産だった様です。金沢はこれから日増しに寒くなるから大変でせう。
 先日の台風東京は大した事もなく過ぎましたが、富士山麓の西湖畔は山崩れで大変の様でした。まだ遺体が大分見つからない様です。毎年の台風どうにかならないものかとつくづく思います。

 三郎も一昨日で中間試験が終わりました。此の頃すごく大きくなって体の形が武夫に大変にて来ました。足の様子ではまだのびそうです。中々言ふ事をきかなくなりましたが、考へて見ると中学三年ももうわづか・・・・高校生になるのだから仕方がないでせう。貴方達が帰る頃はすっかり大人になるでせう。 私も二人が帰るまでは生きてゐたいと頑張ってゐます。二人が帰って孫が出来て恵美子でもお嫁にやれたらそれ以上の望はありません。
 貴方達も町の方へ出て着る物等どんなですか。困るものがあったら早目に知らせて下さい。勉強も大変でせうがどうぞ二人共体に気をつけて下さい。無理をしない様願います。では又便りします。
二人へ