M.スコット・ペック 森英明訳、『平気でうそをつく人たち 虚偽と偽悪の心理学』草思社文庫、2011に学ぶ、学ぶ基本メッセージ 増補

M.スコット・ペック 森英明訳、『平気でうそをつく人たち 虚偽と偽悪の心理学』草思社文庫、2011に学ぶ、学ぶ基本メッセージ 増補

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1008212859318760&set=a.508715392601845.1073741826.100003901676704&type=3&theater

 かなり長時間をかけ熟読、やっと、あるいはついに読了しました。
 いろいろ線を引いたり、書き込みをしたりしました。ですから、本書の細部からも、新鮮な示唆を幾つも受けました。
 しかし今回報告したいのは、私なり把握できたと判断する本書の中心点です。著者は、「悪」を軽視も、まして無視しなない。本書の副題、「虚偽と偽悪の心理学」が、この事実をよく表現しています。
 悪の実態は、本書の書名、「平気でうそをつく人たち」が、ものの見事に指摘します。
 そうです。うそです。
 (1)あることをないかのように言う
 (2)ないことをあるかのように言う
 この両面を持つ一つ実態(参照ヨハネ8:44)。

 しかし同時に注目すべきは、著者は、善悪二元論のように、悪を絶対視しないのです。
 『平気でうそをつく人たち 虚偽と偽悪の心理学』と並行して、毎日の5分間説教の準備の一つとして読んでいるアウグスティヌスの『ヨハネによる福音書講解説教』(2)の、66,67頁が、1つの明確な手引きを与えてくれました。6:70,71に見るイスカリオテのユダについての記述を講解している文書です。
 私なりに要約すると、以下のように点を含む基本的恵みと恵みを無駄にする(Ⅰコリント15:10)事実です。
 (Ⅰ)悪、悪人は神のすべての善を悪用。
 (Ⅱ)神は悪人の悪しきわざを善用したもう。

アウグスティヌスの要約
  「悪人はかものすべての善を悪用し、それに対し全員は悪人どものなしたあくをも善用する」
  「主は彼の悪事を善用したもうた。主はわたしたちを贖うために、自分が裏切られるのに耐えられた。
 見よ、ユダの悪事は善に変えられた」(アウグスティヌスの『ヨハネによる福音書講解説教』(2)の、66,67頁)。

★M.スコット・ペックが、『平気でうそをつく人たち 虚偽と偽悪の心理学』
において提示しているのは、アウグスティヌスが聖書の講解で提示している、善と悪の関係であり、最後には善が勝つという希望についての彼独自の心理学的説明です。そうです、悪は愛によってのみ封じこめ得るとのメッセージです。

★1963年から72年まで、M.スコット・ペックは、沖縄勤務を含む9年間、米軍所属の精神科医として働いている。その間に米国のベトナム政策やベトナムでの米軍の行動に大きな疑問を持ち、そうした経験と思索を通して、本書5章 集団の悪についてが記述されている。
 私ハ、1963年から67年ニュ―イングランドに留学。1986年から2011年まで25年間沖縄に滞在したこともあって、上記の「集団の悪について」の記述が心に深く刻まれました。