ルカの福音書味読・身読の手引き・その89
☆沖縄で聖書を、聖書で沖縄を読む。
首里福音教会、その主日礼拝を中心にした営みの報告。
「一晩中」
ルカ22章63−65節
［１］序
いよいよ11月23日から28日まで、祈り備えて来ました秋の協力伝道を迎えています。今年は青森五所川原の田村先生が講師で、八重山キリスト福音教会から順次六つの姉妹教会の特別集会で奉仕して下さいます。首里福音教会では、26日（金)午後7時半より特別集会。家族、友人や知人を招きご参加ください。
司会者ははじめ各奉仕者のために祈り続けましょう。また23日(火)には、一日祈祷会を予定しています。これがいかに大切か強調し過ぎることはない。
先週私たちはヨハネ21章15−19節を味わいました。今週はいつものように、ルカの福音書に戻り、22章63−65節の比較的短いこの箇所とⅠペテロ2章22−25節両方を見て行きます。
［２］ルカ22章63-65節
（１）ルカがこの場面を描く特徴
マタイ26章67と68節、「そうして、彼らはイエスの顔につばきをかけ、こぶしでなぐりつけ、また、他の者たちは、イエスを平手で打って、こう言った。『当ててみろ。キリスト。あなたを打ったのはだれか。』」。
マルコ14章65節、「そうして、ある人々は、イエスにつばきをかけ、御顔をおおい、こぶしでなぐりつけ。『言い当ててみろ』などと言ったりし始めた。また、役人たちは、イエスを受け取って、平手で打った。」にも、主イエスに対するあざけりの事実を記述しています。しかしルカの福音書では、できごとが法廷ではなく、法廷の外で起こったように、また直接にあざけりのことばを浴びせむちでたたいのは、監視人たちであるように記しています。
何よりも注目すべきことは、ルカ22章66節に、「夜が明けると」とあり、63ｰ65節に記すこと、また54ｰ63節に描くできごとは、夜の間に起こったことを明らかにしています。特に63−65節に示す、主イエスへの仕打ちは繰り返し継続されたように表現しています。「一晩中」、主イエスに対するあざけりのことばを幾人かの人々が交替で浴びせかけ、むち打ちを続けていたと判断できます。ペテロが三度主イエスを否定を繰り返している間に。 54−62節の事柄と63−65節の内容は、時間的に重ね平行して進行したと受け取るようにルカは描いていると理解すべきです。
（２）からかい，むちでたたき，悪口を浴びせた
①「からかい」、ルカ18章32節、「人の子は異邦人に引き渡され、そして彼らにあざけられ、はずかしめられ、つばきをかけられます。」
ルカ23章11節、「ヘロデは、自分の兵士たちといっしょにイエスを侮辱したり嘲弄したりしたあげく、はでな衣を着せて、ピラトに送り返した。」、ことばによる攻撃。
②「むちでたたき」、肉体的痛みを通しての攻撃。
③「悪口を浴びせた」、
ルカ23章39節、「十字架にかけられていた犯罪人のひとりはイエスに悪口を言い、「あなたはキリストではないか。自分と私たちを救え」と言った。」。
マタイ27章39と40節、「道を行く人々は、頭を振りながらイエスをののしって、言った。『神殿を打ちこわして三日で建てる人よ。もし、神の子なら、自分を救ってみろ。十字架から降りて来い。』」。
使徒たちに対してもあざけり、使徒の働き13章45節、18章6節参照。
これらのあざけりのことばは、あの荒野の試みにおけるサタンのことばに通じるものです。ことばによる主なる神への反逆、汚しごと以外のなにものでもありません。主イエスの十字架をあなどり、敗北だとする挑戦です。
しかし福音宣教は、まさに主イエスの十字架の宣教です。
Ⅰコリント1章18節、「十字架のことばは、滅びに至る人々には愚かであっても、救いを受ける私たちには、神の力です。」、
Ⅰコリント1章22−24節、「ユダヤ人はしるしを要求し、ギリシヤ人は知恵を追求します。しかし、私たちは十字架につけられたキリストを宣べ伝えるのです。ユダヤ人にとってはつまずき、異邦人にとっては愚かでしょうが、しかし、ユダヤ人であってもギリシヤ人であっても、召された者にとっては、キリストは神の力、神の知恵なのです。」。
［３］Ⅰペテロ2章22−25節
主イエスがあざけりを受けているとき、三度まで主イエスを否定してしまたペテロ。けれどもこのペテロに、「しかし、わたしは、あなたの信仰がなくならないように、あなたのために祈りました。だからあなたは、立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」（ルカ22章32節)と主イエスは語られていたのです。主イエスの祈りの実の一つとして、ペテロの今朝の箇所の理解を味わい、真に力づけられたいのです．。
（１)「キリストは」，Ⅰペテロ2章22節、「キリストは罪を犯したことがなく、その口に何の偽りも見いだされませんでした」。
（２）十字架とⅠペテロ2章23節の内容との堅い結び付き
Ⅰペテロ2章23節、「ののしられても、ののしり返さず、苦しめられても、おどすことをせず、正しくさばかれる方にお任せになりました」。
（３）「キリストの打ち傷のゆえに、あなたが、，いやされたのです」イザヤ53章5節、苦難のしもべの預言。その成就としての主イエスの十字。
私たち、あらゆる病に苦しむ方々にこのいやしの福音を宣べ伝えるべきです。この小さな首里福音教会に、あらゆるやまいに苦しむ方々が招かれ、主イエスにあるいやしが宣言される必要があります。首里福音教会のひとりひとりが病める人々の所に行き、このいやしの福音を伝えることが許されているのです。そして主イエスにある本当のいやしが、25節、「あなたがたは、羊のようにさまよっていましたが、今は、自分のたましいの牧者であり監督者である方のもとに帰ったのです。」に見る内容豊かな恵みを経験するよう祈るのです。
［４］結び
（１）ペテロが・・・しているとき、主イエスは。
私たちが・・・しているとき、主イエスは。
（２）ペテロはことばの暴力を深く理解していました。Ⅰペテロ2章12、15節、3章16節、4章4、14節。
ことばの暴力の被害者から一転して、加害者になることのないように道を示してくれています。ぞうきん，ちり箱のような生活・生涯なのだと先達は指し示してくれています。
2章1節、「ですから、あなたがたは、すべての悪意、すべてのごまかし、いろいろな偽善やねたみ、すべての悪口を捨てて、」。
3章9節,「悪をもって悪に報いず、侮辱をもって侮辱に報いず、かえって祝福を与えなさい。あなたがたは祝福を受け継ぐために召されたのだからです」。
そうです、
「いのちを愛し、
幸いな日々を過ごしたいと思う者は、
舌を押さえて悪を言わず、
くちびるを閉ざして偽りを語らず、
悪から遠ざかって善を行い、
平和を求めてこれを追い求めよ。
」（Ⅰペテロ3章10、11節)と勧められています。
私たちのくちびるは神を讃美し、人々のため祝福を願い執り成しの祈りをささげるために与えられています。サタンのあざけりのことばに対する勝利の道、それは神への讃美の歌声であり、祈りのことばです。
讃美と祈り、そのためには、「神の栄光を望んで大いに喜んでい」（ロマ5章2節)なければなりません。「今の時のいろいろの苦しみは、将来私たちに啓示されようとしている栄光に比べれば、取るに足りないものと」（ロ−マ8章18節)深く理解しなければなりません。
主イエスの十字架こそ、神の栄光への道なのです。すべての病に苦しみ方々を迎える備え。それは聖書を通して神の栄光を教えられ、信じ望み、讃美と祈りに満たされる群れまたひとりびとりとして整えられることです。そのために23日の一日祈祷会は、一つの恵みの手段なのです。
