2008年1月20日(日) 聖望キリスト教会主日礼拝                           『つぼ割り人生、その生活と生涯』 再録

2008年1月20日(日)
聖望キリスト教主日礼拝
                         
『つぼ割り人生、その生活と生涯』 再録

[1] 序
 今朝、聖望キリスト教会の主にある兄弟姉妹と共に主を礼拝し、みことばを味い得ますこと、心より感謝します。昨年も、1月のこの時期、聖望キリスト教会の主日礼拝に出席、主にある幸いな時を過しました。ですから、今、一年の豊かな恵みを回顧し、また新たな思いでこれからの一年を展望しながら、ここにおります。
 さて今朝の聖書の箇所は、マタイ26章1節から16節で、三つの部分に分けられます。
①1−5節
②6−13節
③14−16節
①と②の間には、闇と光の、そして②と③の間には、光と闇の鋭い対比があります。
そうです、①と③の闇に挟まれながら、②の部分が闇を貫き輝く。ヨハネ1章5節。

[2]主イエスを捕らえ、殺そうとする相談
まず最初に、闇の描写について、二つの前後の箇所から、2,3の点でだけ注意し、その背景の中で、つぼを割り、香油を注ぐ女の姿に私たちの思いを集中したいのです。
(1)3−5節
 2節に見るように、「人の子は十字架につけられために引き渡されます」と、主イエスは、十字架を明言なさいます。
 ところが「そのころ」(3節)とあるように、主イエスのことばとまさに同時並行して、「祭司長、民の長老たち」など、当時の指導階級を構成する人々が、「イエスをだまして捕らえ、殺そうと相談した」のです。
 しかし「祭りの間」(5節)、エルサレルに多数の人々が集い、民族的な興奮が高まる。主イエスの殺害は、騒動の切っ掛けとなり得る、避くべきだと彼らは判断をしたのです。

(2)14−16節
 14節の「そのとき」は、6−13節の女とイスカリオテのユダの鋭い対比を浮き彫りに。
 どのような心の動きから、ユダが主イエスを裏切るに至ったか、聖書は直接語っていません。しかし幾つかの点を確認できます。
①「いったいいくらくれますか」(15節).金銭欲との関係。参照ヨハネ12章6節。
②「ユダに、サタンが入った」(ルカ22章3節)。
③6−13節に見る弟子たち同様、主イエスに対する無理解。
④「銀貨三十枚」(15節)。奴隷一人の値段(ゼカリヤ11章12節)。価値判断をめぐり、最高に鋭い対比。つぼ割り人生、その根底は、価値判断にあります。

[3]つぼを割り、香油を注ぐ女、6−13節
(1)「ひとりの女」の行為
マルコ14章3節、「ひとりの女が、純粋で、非常に高価なナルド油のはいった石膏のつぼをもって来て、そのつぼを割り、イエスの頭に注いだ]。ナルドの香油の香りが部屋いっぱいに。純粋なのは、ナルドの香油ばかりでなく、「ひとりの女」その人自身です。

(2)弟子たちの評価
 弟子たちは、この女の行為に対し、高価なナルド油が浪費されているとして、「この香油なら、高く売れて、貧乏な人たちに施しができたのに」(9節)と、それなりの理屈。

(3)主イエスの評価
 しかし主イエスは、「なぜ、この女を困らせるのです。わたしに対してもりっぱなことをしてくれたのです」「(10節)と、高く高く評価。この女の行為の背後には、主イエスに対する感謝と愛の溢れがあったのです。主イエスに対しどのようなものも高価過ぎない。主イエスに対する彼女の思いを、自分のできることをもって表現したのです。
 また「この女が、この香油をわたしのからだに注いだのは、わたしの埋葬の用意をしてくれた」(12節)とあるように、主イエスの死とその意味を女は直感的に悟っていたのです。

〔4〕結び
 この女に見る、つぼ割り人生、その生活・生涯。この道を私達も日々歩みために、
パウロからテモテへの勧めに、私たちも従うのです。
「私の福音に言うとおり、ダベデの子孫として生まれ、死者の中からよみがえったイエス・キリストを、いつも思っていなさい」(Ⅱテモテ2:8)。ヘブル12章1,2節。
また笹尾鉄三郎作詞 聖歌733番は、大切な手引きです。聖歌733番の各節に、つぼ割り人生の生き様が深く、豊かに刻まれています。 米 歌詞版の原詩で。
 1節 ゲッセマネのよるの きみをしのばば
       うきもなやみも などで避くべき
          おのれをすてて きみにしたがわん
2節 ピラトのにわの きみをしのばば
       はじもなわめも かこつべきかは
           言い訳せずに きみにしたがわん
 3節 カルバリやまの きみをしのばば
       いたみくるしみ ものの数かわ
          十字架をおいて きみにしたがわん
 4節 はかよりいでし きみをしのばば
     あたもあくまも おそるべきかは
        かちどきあげて きみにしたがわん