留学中(1963年―1967年)、母典子からの手紙、先のものに加え、今回新たに5通、その4

留学中(1963年―1967年)、母典子からの手紙、先のものに加え、今回新たに5通、その4

★母典子は、1970年10月25日、50代の半ばで死去しました。50年近く前のことです。しかし矢倉光子姉が打ち出してくれた手紙を読むと、母の声が聞こえるようです。

1965年初冬
 大分寒くなりました。北海道は雪と聞きました故、御地ももう雪が降ってゐるのではないかと思って居ります。
 先日のガウン十一月十日に三越から送りました。紫のがなくて君代さんのと同じと思いますが、水色のにしました。如何でせう。
 お友達のお母さんの分はエンヂと思いましたが、余り黒いエンヂなので派手な方がよいかとそれにしました。ラグラン袖の方が肩巾がゆうづうがきいて太った人にもよいかと思いましたが模様が袖の肩からついた方がたく山ついてゐるので両方別々にして見ましたが、どうだったでせう。まだつかないでせうが様子知らせて下さい。値段はガウン三枚で一万四百円、荷造料、送料がバーバラさんの方が千二百八十円、そちらのが千二百三十円でした。それからもし洗濯する時はドライでとの事でした。

 クリスマスカードはもう届いた事と思います。如何でしたでせう。色々あってどれがよいか迷ってしまいましたが、色々まぜて見ました。値段は八〇円が一番高かったと思います。全部で三千五百円で送料が三千三百二十円かかってしまいました。もう少し早ければ船便でもよいと思いましたが、間に合わなくては何にもなりませんので航空便にしました。

 家でも其の後皆元気なのですが、お父さんが九日から墨東病院に入院して糖尿病の治療をしてゐます。たいした自覚症状はないのですが、歯が急に悪くなったり大分やせたりしましたので思い切って入院しました。
 私は其の代り今の処元気です。其の内お正月用のお菓子でも送る積りで居りますが、中々病院行きの方がいそがしくておくれて居ります。

 いつかのセーターは届きましたか。大きな人だったそうですから、差上げてもあの寸法で着られたでせうか。君代さんのはどうだったでせう。
 武夫も勉強で忙しい事と思います。君代さんも始めての冬でどうですか。アルバイトに毎日出たりして、どんなかと心配してゐます。無理をしないで下さい。色々想像して心配してゐますが、こう離れてゐてはどうする事も出来ませんね。

 そちらはクリスマスの仕度でいそがしいのでせうね。
美喜子も大変調子がよかったのですが、二三日前から風邪を引いたのか少し具合が悪くてお医者様通いです。大した事はなく元気なのですが下痢をしたりしてゐるので、てる子さんも心配してゐます。
 では寒さもきびしくなりませうからお体気をつけて下さい。乱筆にて失礼
母より