1970年10月25日、55歳の生涯の歩みを終えた母典子を記念ー1963年から1967年留学中両親からの手紙4通を再読

1970年10月25日、55歳の生涯の歩みを終えた母典子を記念ー1963年から1967年留学中両親からの手紙4通を再読 その1

★母は、日本聖公会の教会で受洗した父のように目に見える形で信仰告白しなかったのは事実です。
 同時に、長男と三男の二人の牧師がこの母のもとで育てられ、牧師としての歩みの基盤を据えられたことも事実です。

★1965年新年 母典子より
「其の後元気の様で何よりです。
こちらも此のところきびしい寒さが続いています。そちらも随分寒い事だろうと話して居ります。君代さんの卒業もいよいよ近づいて来ましたね。本人も何かと準備して居る様です。四月十日予定の式が変更になるそうですね。早くなる様なら荷物の発送も二月半ば頃までにした方が良いでせうし、そちらからも書類が着かないので君代さんも気をもんで居ります。それがつき次第、ミヤコトラベルへ行き依頼するそうです。
昨日岩手からお父さんが上京され色々お話しましたが、あちらも結婚式が重なって中々大変の様です。私共でもとりあえず株の残りを処分して三十五万程にはなる予定ですが、旅費をとれば残りはわずかです。そちらの式にはどれ程かかりますか。住居は学校の方へお願い出来そうだとの事で喜んで居ります。当分そう出来れば一安心ではないでしょうか。いづれかにしても今まで一人であったのが二人となれば、楽しみもあるかわり、苦労も二倍になるのですから心配です。こちらとしてもガソリンスタンドは確実なかわり大した事もない様ですから、今まで送った位が今後も精一杯と思います。
お父さんも家庭を持てば子供も出来るだろうし、そうなれば君代さんが働くという事は大変な事だし、第一君代さんの働きをいつまでも当てにする事は間違っているのだから、今後の方針をよく立てて行かねばと大変心配して居ます。最初の予定の通り三年で帰国したとしても、それからの態度もよく今から考えて置かないと一人身の時とは何かと違うと思います。

おみやげの件ですが婦人会の人達には風呂敷か箸との事ですが、人数はどの位ですか。教会は何か装飾品がよいと思います。リッチさんにラジオとの事ですが、トランジスタでよいのですか。七八千円でポケットへ入る位のだとの事ですが。貴方の靴が新しくないとおかしいと思いますが、何文でしたでしょう。ワイシャツの首まわりもはかりではかって知らせて貰った方がよいと思います。写真の様子では大分太った様に見えますが・・・袖は少し長目にして置けばよいと思います。

忠ちゃん(隣家従兄弟)のところも二月十五日頃出産の予定ですし、信子(従姉妹)も五月十四日に結婚式をあげます。世田谷の方で銀行に勤めている人です。
いづれにしても色々の事が重なって居ります。私もまだまだ丈夫でいなければとつくづく思います。てる子さん(次男義男嫁)も六月にはお産ですから又一人ふえます。貴方達の事も中々思ふ様にしてやれませんが、体さへ丈夫なら何とかうまくこなして行かれる事と思っています。それにそちらの皆さんも皆親切にしてくれる様なので安心しています。
では又君代さんが見えて相談する事が出来ましたらお知らせします。体に気をつけて下さい。
母より武夫様」