著者吉岡繁先生と読み手私の年齢差に注意

著者吉岡繁先生と読み手私との年齢差に意を注ぐ

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 吉岡繁先生とは、生前一度もお会いする機会がありませんでした。
しかし最晩年に直接文通をする恵みを与えられ、さらに葬儀次第と本書を幸便に託して受け取りました。
 今回、本書に含まれている説教「死についての聖書の教え」をはじめ、吉岡先生が死をめぐりお書きになった文章を熟読しました。
 それらを、1923年誕生の吉岡先生の年齢を意識すると以下のようです。
1923年
 11月1日 日本基督教団鎌倉雪の下教会牧師松尾造酒蔵、きくのじなんとして神奈川県に生まれる
1996年
 (3)死と死後について
1997年
 (15)葬式のこと
 (16)復活
1998年
 (27)死を見つめて
 (33)老いとキリスト教信仰
 (35)再び「老い」について
2000年
 (57)老いの自立
2001年
 (69)終末信仰
2002年
 (73)希望について

 以上の文章を読みながら、1つの明白な事実を確認しました。そうです、著者吉岡繁先生と読み手私との年齢差です。1923年と1939年の16年の差です。
 1945年4月に小学校に入学、その年に8月15日、そして9月1日を迎える経験した私でも、10歳下の友人の経験とは差があります。
 吉岡先生ご自身の明言を心して読みました。
「私たちは、学徒出陣をした戦争世代ですから、青春時代に死を覚悟し、決意した者たちです。戦死した友も多くいる中で、神の不思議な摂理によって、ビルマやフイリッピンの死闘、過酷なシベリヤ抑留にも耐えて生還し、敗戦後の時代を懸命に生き抜いて五〇年、漸く老境に入り、自分の死を真近かに感じるようになって、あらためて思いを巡らしているのです」(8頁)。
 共著として紹介されている「学徒出陣の記録」(1968中央公論)や「学徒出陣から50年」(1972年揺籃社)の重みを実感します。
 さらに恩師渡邊公平先生を思います。ウエストミンスター神学校留学中日米開戦、交換船で帰国、中国大陸へのご生涯の中でのキリスト信仰、神学形成である重みを、吉岡先生に学ぶことを通して再確認する必要を痛感します。