敬愛する順天堂大学医学部樋野興夫先生からの人と人の出会いについて感動的な活報告

敬愛する順天堂大学医学部樋野興夫先生からの人と人の出会いについて感動的な活報告

「宮村先生
感謝申し上げます。
樋野

第210回「がん哲学学校」
検事総長原田明夫氏の逝去〜『勇ましき高尚なる生涯』〜
検事総長原田明夫氏が、逝去された(2017年4月6日)。痛恨の極みである。昨年12月、wifeとお見舞いに行き、お逢いしたのが、今生の別れとなった。Wifeと1999年法曹会館での、原田明夫氏ご夫妻との出会いと語らい、2000年『新渡戸稲造武士道100周年記念シンポ』は、筆者が「陣営の外」に出る、大きな人生の邂逅となった。さらに、ご退職の2004年に、国連大学で『新渡戸稲造5000円札さようならシンポ』を一緒に開催したのが走馬灯のように駆け巡ってくる。

思えば45年前、一人の人物に出会った。そして、南原繁を学んだ。また、「将来自分が専門とする分野以外の本を、寝る前に 30分読む習慣を身につけよ」とも教わった。それで、南原繁の本を読み、そして、南原繁の師である内村鑑三新渡戸稲造の本も、細々と、寝る前30分読み続けた。そうしているうちに、原田明夫氏との不思議な出会いが与えられた。『新渡戸稲造生誕140年』(2002年)、『新渡戸稲造没後70年』(2003年)も一緒に、企画する機会が与えられた。

新渡戸稲造は「君に求めていることはそんなことではない、理想を語れ」と児玉源太郎に言われたとのことである。その時に、新渡戸稲造は、「なんとスケールの大きい人物であることか」と述べている。それと同じような気持ちである。「先人の志を継承する」基本的な心構えは、「大いなる人物の、収穫物というものは、存命中に、実を結んだものだけではないことを覚えておかなければいけない。ゆえに後世に生まれた我々が、これを温故し創新することによって現代に貢献出来る、そして先人が求めた一つひとつの命題は、今日の命題であり、将来のそれでもあろう。所詮、我々は畳1枚の、いや、座布団1枚の墓場しか残らない。残るのは『勇ましき高尚なる生涯』である」の実体験である。

「歴史の動脈」は人物を通して流れるものである。たった一人の登場で世の中の流れが変わるのは「歴史」だけでなく、生命現象からも語れる普遍的なテーマであろう。
昨年は、恩師、菅野晴夫先生、AlferedG. Knudson博士を失い、今年は、原田明夫氏を失った。この3人との出会いは、筆者にとっては、階段を昇る如く、自分の身長が伸びたと思える、人生の不連続の連続性の邂逅であった。