「Ⅰペテロ1:24,25→バビロンもローマも国家は枯れ散る。しかし主の言葉は・・・」その2の2

「Ⅰペテロ1:24,25→バビロンもローマも国家は枯れ散る。しかし主の言葉は・・・」その2の2

ペテロの手紙を受け取った人々は、激しい迫害に直面しつつあったのです。確かにそれはローマの全権力、全軍事力、全経済力からすればごくわずかな力をもっての迫害でしかなく、場所的にもある地域に限定されたものです。しかし現実に迫害を受ける教会にとっては、「燃えさかる火の
試練」(4:12)と言える激しものになり得るとペテロは冷静に見通しています。その上で、教会の灯など一息で吹き消し、飲み込んでしまうかに巨大なローマも、実はしおれる草、散っていく花のようなもの。実に冷めた洞察眼です。こうしたペテロの国家観や歴史観に目を留めることが、ペテロのメッセージを味わう上で大切な鍵です。

 この手紙の書き手は、一介の漁師であったペテロです。他方受信人たちは小アジアの各地で細々と暮らす離散の民、ローマから見れば、全く取るに足りない寄留の民です。この現実の中でペテロはしっかりとローマの行く末を見つめ、自分が今宣べ伝えている福音は神のことばに基づき、ローマが滅亡しても決して変わったりしない不動のものだと言い切っているのです。