使徒の働き味読・身読の手引き・その48

沖縄で聖書を、聖書で沖縄を読む。
首里福音教会、その主日礼拝を中心にした営みの報告


「諸教会を力づけ」
使徒15章36ー41節

[1]序
 今朝は使徒の働き15章の最後の箇所(36ー41節)を味わいます。アンテオケ教会で宣教に励んでいたパウロバルナバが、第一次宣教旅行で開拓伝道に従事した諸教会(13章と14章)を再び訪問し力づけるため、第二次宣教旅行(18章22節まで)に出立する決心をする場面です。
その際、マルコの同行をめぐりパウロバルナバの間に生じた激しい反目を著者ルカは事実として報告しています。アンテオケ教会の充実と諸教会訪問の関係を注意しながら見て行きます。

[2]アンテオケ教会の充実
(1)アンテオケの現在。
15章35節、「パウロバルナバはアンテオケにとどまって、ほかの多くの人々とともに、主のみことばを教え、宣べ伝えた。」、パウロバルナバをはじめ多数の人々が協力し、それぞれの分を果たし、主のみことばを教え伝えのです。教会の公の集会でも、家庭をはじめ人々が現実に生きている場でも、こうしてアンテオケ教会は聖書に基づき充実して行く様を見ます。

(2)アンテオケ教会の過去。
アンテオケ教会は、もともとエルサレム教会に対する迫害のため散らされ、アンテオケに亡命した人々を中心に誕生した教会でした(11章19ー26節)。教会の誕生の時点から、エルサレム教会と深い結びつきがあり、エルサレム教会から派遣されたバルナバの指導を受けたのです(11章22節以下)。
また、「バルナバはサウロを捜しにタルソへ行き」(11章25節)とあるように、タルソ地方で宣教に励んでいたパウロを招き、中心的指導者の一人としての立場を委ねました。それぞれの背景を持つ幾人もの指導者が立てられ、互いに協力し共同牧会を進めていました(13章1ー3節)。
15章1節、「さて、ある人々がユダヤから下って来て、兄弟たちに、『モーセの慣習に従って割礼を受けなければ、あなたがたは救われない』と教えていた。」に見るような困難に直面すると、直ちにエルサレム教会と協力し、事態の根本的解決にあたりました。
教会の誕生時点から、エルサレム教会を中心に、諸教会との交わりの中に生かされて来ました。現在の充実の背後に、諸教会に支えられ進んで来た歩みがあります。

(3)アンテオケ教会の将来。
アンテオケ教会は、現在の状態に止どまってはいません。「パウロとシラスを選び、兄弟たちから主の恵みにゆだねられ出発した」(40節)とあります。
13章と14章に見た第一次宣教旅行場合と同様、パウロとシラスを派遣し、彼らを通して諸教会と堅く結び付きます。パウロたちにより開拓され、開拓教会から次の段階へと一歩一歩進んで行く諸教会のため、アンテオケ教会は用いられます。アンテオケ教会が充実しているのは、諸教会のため、他の人々のために用いられるためなのです。

[3]諸教会を訪問、力つける 
36節、「幾日かたって後、パウロバルナバにこう言った。『先に主のことばを伝えたすべての町々の兄弟たちのところに、またたずねて行って、どうしているか見て来ようではありませんか。』」。パウロの使命は、アンテオケ教会に深く根差します。しかしアンテオケ教会のみに限られず、地域を越えた広がりを持ちます。
(1)諸教会を訪問、力つける必要。
 13章と14章に見る諸教会の誕生は、様々な困難の中でのものでした。しかもその後の歩みも、何の障害もない簡単な道ではない事実をパウロは十分知り抜いていました。諸教会を訪問し、「どうしているかを見」、あるべき歩みを進み続けるよう慰め励まし合う必要をパウロバルナバも悟っています。そのため細心の注意を払い準備を進めます。

(2)その実践、諸教会を訪問。
力づける必要についてはパウロバルナバは全く一致します。しかし、その実践ついて、マルコの同伴をめぐり意見を異にします。
このように出発した第二次宣教旅行を通し、福音は、アテネ、コリント、エペソなど中心的な都市を含め、広く伝えられて行きます(16章、17章、18章)。
またマルコ自身も後にはパウロの同労者として働き、交わりが深められて行きます(コロサイ4章10節)。

[4]結び 
アンテオケ教会同様、それぞれの教会は、多くの教会の多くの人々により祈り支えられて誕生し成長しています。そして主のみことばに基づく教会の充実は、自らのためだけでなく、他の人々のため生かされているのおであり、,諸教会に仕えるためなのです。