ルカの福音書味読・身読の手引き・その77

☆沖縄で聖書を、聖書で沖縄を読む。
首里福音教会、その主日礼拝を中心にした営みの報k告

「律法学者とやもめ」
ルカの福音書20:45ー21:4

[1]序
 今朝8月15日の主日礼拝を、1945年の8月15日を記念しながら守りたいのです。沖縄の特別の歴史と共に、日本全体として1945年8月15日をどのように受け止めるべきかの課題を大切にする責任があります。
私個人としましても、疎開先の福島県の山奥で小学校一年生として迎えた8月15日の意味を沖縄の地にあって心に刻み続けたいと願います。
 本日午後からは壮年会の食事会を計画しています。壮年会のメンバー各自が、家庭での責任、職場での役割、さらに教会での分を自覚し、それぞれの歩みを報告しあい励まし祈る交わりがさらに深められて行くように、また交わりの輪が広げられて行くようにお祈りください。
 さて今朝の聖書箇所は、いつもと違い20章の最後から21章のはじめへと章の区分をまたいだ箇所です。
聖書の章節の区分は、最初に書かれた時にあったものではありません。元々のものではないのです。節はかなり古い時代からあったようですが、現在の章の区分は聖書が印刷されるようになってからのものです。
章の区分はとても便利でその役割を十分果たしているわけですが、同時に限界もあります。時には章の区分で聖書の元々の流れ・文脈を切断してしまいやすく弊害にさえなります。ですから時には、章の区分に捕らわれず、聖書の一つの書をはじめから終わりまで全体を一気に読み通すことは、とても益があります。実行なさることをお勧めします。

[2]「律法学者たちに気をつけなさい」(20章45節−47節)
(1)さらに詳しく徹底した、律法学者とパリサイ人に対する記述として、ルカ11章37ー54節、14章7節以下、16章13ー14節、18章9節以下、マタイ23章全体。

(2)ここで特に指摘している点
①「長い衣をまとって歩き回る」

②「広場でのあいさつ、会堂での上席や宴会の上座が好き」

③「やもめの家を食いつぶす」

④「見えを飾るために長い祈り」
 警告、「こういう人たちは人一倍きびしい罰を受ける」。

(3)45ー47節の目的、意図。だれに対する警告なのか。
①マタイ23章1節、「そのとき、イエスは群衆と弟子たちに話して」。マルコ12章43節、「すると、イエスは弟子たちを呼び寄せて」。ここで本当に問題になっているのは、主イエスの弟子たち(後の教会の説教者や教職者の原型として)が直面する危機。

②律法学者とパリサイ人の本来の起源は積極的に評価すべきもの。しかしその後の経過は、本来の精神からずれる可能性。
 また律法学者とパリサイ人たち、さらにヨダヤ人一般についてのことばを誤解した、後の教会の反ユダヤ人感情の危険性。

③一世紀のユダヤ教内における、パリサイ人の偽善に対する批判。

[3]「ある貧しいやもめが」(21章1ー4節)
(1)聖書の流れ・文脈の大切さ。
 ①21章1ー4節と20章20ー47節、「やもめ」(21章2節、20章47節)が両者を結ぶ鍵のことば。
 21章1ー4節と5節以下、一人の貧しいやもめに目を注ぐ主イエスとすばらしい石や奉納物の宮に見とれる弟子たちの鋭い対比。

 ②毎日一定の聖書の箇所を読み進めて行く、聖書日課の恵み。そのための時間や場所などについての工夫、そのための手引書。
 同時に一気に読み通すことの恵み。聖書通読の良き習慣の確立のための努力。

(2)21章のポイントの一つ
 2節「貧しい」、3節「貧しい」、意味の似る異なる単語を繰り返し用い強調しています。2節の場合は生計のため苦労していること、3節の場合は、ほとんど物乞いになるほどの貧しさを示しています。

(3)献金について
 旧約聖書に見る犠牲のささげものの意味、
「なぜなら、肉のいのちは血の中にあるからである。わたしはあなたがたのいのちを祭壇の上で贖うために、これをあなたがたに与えた。いのちとして贖いをするのは血である」(レビ記17章11節)、神から民への賜物。
当時の周囲の世界で偶像へにささげものについての理解と実践(人から神々へ)と旧約聖書の犠牲(神から人々へ)は根本的に違います。私たちが生かされている沖縄では、一般に宗教的なささげものについての理解はどのようなものでしょうか。

[4]結び
(1)教職者、指導者の危険と責任
①教職者・指導者の危険。旧約聖書全体を通じて、イスラエルの歴史における指導者の堕落を繰り返し鋭く指摘。
新約聖書において、ルカ11章、マタイ23章以外にも、ヨハネ10章、ヤコブ3章1節以下などにおいて、同じ問題を指摘し警告。

②教職者・指導者の責任。Ⅰペテロ5章1ー5節。大牧者主イエス、しもべ・王として、ルカ22章24ー30節。ヘブル13章7、17節。エペソ6章19、20節。

(2)献金について
①落とし穴、ルカ11章42節。ミカ6章6ー8節。
「やもめの家を食いつぶし」との警告。使徒の働き3章6節に基づく、中世の教会について述べた、中世の代表的な神学者のことば。
プロテスタント宗教改革の出発点の大切な一つとして、免罪符販売に反対して神学者に検討を呼びかけた、ルターの95箇条の提題。

②貧しい時、若い時、苦しい時に、良い習慣の確立。個人としても教会としても、自発的、力に応じて、力に以上に。備えて。参照マラキ3章8ー12節。Ⅰコリント16章1ー3節など。
◆初穂、一部で全体を。残ったもの、要らなくなったもの、余ったものではなく。一番よいものを主に、マラキ1章8節。