『公同の祈り』

2004年9月12日
宇都宮キリスト集会

『公同の祈り』
Ⅰテモテ2章1-7節

[1]序
(1)おはようございます。今朝も、皆様と、このような形ですが、Ⅰテモテを読み進めることが赦され、感謝です。今朝は、2章へ入ります。

(2)文脈。1章の最後に言及されている信仰の戦いについての勧めに直接続くとところです。1章においてパウロに代表される罪人に与えられている救いの恵みを受けて、その感謝として、2章1節以下では、「そこで、まず初めに」と公同礼拝の祈りをパウロは取り上げています。
内容は、1-7節までは、公同の祈りそのものについて。8節からは、男性の役割について、また9節以下では女性の役割について。

[2]第一の勧め・公同の祈り、1-3節
1節では、すべての人のための祈り。次に2節では、「王とすべての高い地位にある人たちのために」の祈りについて、3-7節は祈りの根拠を提示。
(1)「すべての人のために、・・・また」、1節
1祈りは、エペソの教会などキリスト者・教会の必要のためだけでなく、周囲の人々、そのあらゆる事柄と必要のためにもなされることをパウロは明示しています。

①「すべての人のために」
「すべての人」と1節をはじめ、4節、「すべての人が救われて」、6節、「キリストは、「すべての人の贖いの代価として」と繰り返し強調。
「すべての人」の意味。参照ローマ1章16節、「私は福音を恥とは思いません。福音は、ユダヤ人をはじめギリシャ人にも、信じるすべての人にとって、救いを得させる神の力です」。参照ガラテヤ3章20節の「みな」、人間の差別の壁を越える、神の救済意志。

②「また王とすべての高い地位にある人たちのために」
1節後半では、「すべての人」の中で、地方行政官から最高権力者まで当時の行政にかかわる人々のための祈りを取り上げています。彼らは、他の人々の生活を直接、間接左右する立場に置かれており、主なる神から委ねられた使命を彼らが果たすようにキリスト者・教会は執り成し祈るのです。
ここには、教会と国家の関係の基本が示されています。参照ローマ13章1-5節。Ⅰペテロ2章1314節。
教会は、初代教会の場合に見るように、教会を迫害する者のためにも祈る使命を与えられています。参照マタイ5:43-45。捕囚の民として、祈りの使命、エレミヤ29:7。
1節後半から2節終わりまで、「また王と・・・一生を過ごすためです」は、挿入と見ることができ、1節と3-7節は直接結び付く。

③「願い、祈り、とりなし、感謝」
四つの用語をあまり厳密に区別しないほうがよい。用語を重ねることにより、公同の祈りの重要性を強調。と同時に、祈りの幾つかの側面が示されている点も注意したいのです。
願い、主の祈りの、「日常の糧」のための祈りのように、必要なときに、必要な助け のための祈り。
祈り、豊かな配慮をもって導いてくださるお方に、謙虚な嘆願。
とりなし、各自の必要なものために、互いのための祈り。
感謝、与えられた祝福に感謝

(2)「それは、・・・そうすることは」、2、3節

①「それは、私たちが敬虔に、また威厳をもって、平安で静から一生を過ごすため」、 キリスト者・教会のこの世で公共の責任を果たし、平穏な日常生活と平安の生活を享受することを通して果たす使命のため、1節後半に取り上げている祈りは、大切。
神と人とに喜ばれる日常生活を重視し、その実現を目指し進む。そのために社会の安定と秩序のための祈り。地上での生活を軽視、まして無視(グノーシス主義のように)しない。
周囲の異教徒のように皇帝礼拝はしない。国家のための執り成しの祈り。

②「そうすることは、私たちの救い主である神の御前においてよいことであり、喜ばれることなのです」
キリスト者・教会の在り方から、さらに主なる神ご自身の御心から見てと、判断の基準が定まる。
神の御前での執り成しの祈りの基盤として、キリスト者・教会の生活が、神の御心に従い祝福され、栄えることをパウロはここで示しています。
主なる神への深い信頼。エペソの教会をはじめ、キリスト者・教会は、主なる神に大切なもの。世界の歴史を通じての主なる神の摂理の恵み。

[3]公同の祈りの根拠、4-7節
(1)「)神は、すべての人が救われて、真理を知るようになるのを望んでおられます」
「真理を知る」、参照Ⅱテモテ2:25、3:7、テトス1:1。主イエス・キリストにおける神の救いを生活・生涯で受け入れること。


(2)「(なぜなら)神は唯一です」
4節を根拠づける。
旧約聖書の基盤、申命記6章4節。新約聖書においても、ローマ3章30節、Ⅰコリント8章6節。

(3)「神と人との間の仲介者も唯一・・・、それは人としてのキリスト・イエス
「キリストは、すべての人の贖いの代価として、ご自身をお与えになりました。それが時至ってなされたあかしなのです」
唯一の仲介者。ご人格(いかなるお方か)、真の人となられた真の神。
その御業は、身代わりの贖い、マルコ10章45節。
イエス・キリストは無比なるお方、主イエスの死と歴史は、人間の全般にかかわる。主イエスの十字架の贖い、和解の道、エペソ2章14-16節。
神と人間の間の関係を回復するお方。
神の唯一性と並んで、仲介者キリストの唯一性も明示。
新しい契約の仲保者、ヘブル8:6、9:15、12:24節。

[4]結び
7節。異邦人への宣教師・パウロを通して、Ⅰテモテへの手紙が最初に読まれた今、エペソにおいて。

すべての人を救う神の意志を示し、すべての人のため祈りの必要を体現する、異邦人への使徒、「キリスト・イエス使徒」(1章1節)パウロ
そして今Ⅰテモテへの手紙を読んでいる、宇都宮キリスト集会においても、聖書をとおして「信仰と真理」を教えられている恵みの事実。 ↓
キリスト者・教会の世界宣教の使命