聖公会と東方諸教会が聖霊論で合意、フィリオクェ問題に共通見解示す 翻訳者 : 山本正浩

聖公会東方諸教会聖霊論で合意、フィリオクェ問題に共通見解示す
翻訳者 : 山本正浩

★今日の午後、青梅市のちいろば聖書塾で、第二回 第一章 教会に与えられた御父と御子の霊を、10名ほど持ち、帰宅した後、本記事に目を通しました。
記事の中の以下の言葉に、深い慰めを覚えました。
「恐ろしい強制移住が行われる世界、急速に変化する世界、戦争で分断され、勇敢な殉教が求められる世界にあって、慰め主なる聖霊は、時間と空間を超越しつつも双方の中に宿っておられる。同じ御霊が任務に遣わされ、この罪深い世界で弱い者を強くし、謙虚な者を勇気づけ、貧しい者を慰め、祝福する。この世界は、信仰と希望と愛の中ですべてを新しくする、三位一体の神の摂理と恵みによって支えられている」。

(後期主題) 「 教皇ヨハネ・パウロ二世回勅
聖霊―命の与え主』(ペテロ文庫) 味読 」

第一回 背景として
①第二バチカン公会議とは
教皇ヨハネ・パウロ二世の生涯と働き
第二回 第一章 教会に与えられた御父と御子の霊
第三回 第二章 罪について世の誤りを明らかにする霊
第四回 命を与える霊
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合意声明に署名するコプト正教会のダミエット府主教(中央左)とウェールズ聖公会のセントアサフ主教グレゴリー・キャメロン(中央右)=10月26日、アイルランド・ダブリンのクライストチャーチ大聖堂で(写真:Lynn Glanville / Dioceses of Dublin and Glendalough)
聖公会東方諸教会神学者らが10月26日、アイルランドの首都ダブリンにあるクライストチャーチ大聖堂(アイルランド聖公会)で会合を開き、聖霊論に関する歴史的な合意声明に署名した。
両者の代表者が署名したのは「聖霊の発出と働き」(原題:The Procession and Work of the Holy Spirit、英語)と題した声明。2015年に英ウェールズで開催された聖公会東方諸教会国際委員会(AOOIC)の会合で至った最終合意の内容を文章化したもので、同委がこれまで2年にわたって議論を重ねてきた。
最も重要な合意点は、東西の教会間で長年にわたり争点となってきた「フィリオクェ(Filioque)」という文言について共通の見解を示したこと。ニカイア・コンスタンティノポリス信条(381年)に加筆されたこの文言は、ラテン語で「と御子」を意味するもので、この文言の解釈に関する論争は7世紀までさかのぼる。
フィリオクェを挿入した西方教会は、聖霊は父なる神「と御子(イエス・キリスト)」から発出するとしたが、東方教会はこれに反対し、聖霊は父なる神からのみ発出するとした。16世紀にカトリック教会から分かれた聖公会は、西方教会従来の解釈を受け継いできた。
このフィリオクェに関して、声明は次のように記している。
「われわれは、381年のニカイア・コンスタンティノポリス信条の原文の記載は、聖霊が発出されたのは父と御子(フィリオクェ)からではなく、父のみからである、というものであったと認識する。フィリオクェ条項の挿入は、公会議としての権威がない中で、ラテン語圏の西方教会により一方的に行われ、聖公会の伝統に引き継がれた、とわれわれは認識する」
また、聖公会の諸教会は「父から、御子を通して、また御子によってこの世に送られた聖霊のこの世における働きという意味に、この加筆部分を一般に解釈している」と記されている。
一方、声明によると、聖公会正教会間で結ばれた「モスクワ合意声明」(1976年、英語)に基づき、聖公会内ではすでに「フィリオクェ条項はニカイア・コンスタンティノポリス信条に含まれるべきではない」という合意に至っている。
声明には、聖公会側からウェールズ聖公会のセントアサフ主教グレゴリー・キャメロンが、東方諸教会側からはコプト正教会のダミエット府主教が署名した。2人は聖公会東方諸教会国際委員会の共同議長を務めてきた。声明は最後に次のように述べている。
「恐ろしい強制移住が行われる世界、急速に変化する世界、戦争で分断され、勇敢な殉教が求められる世界にあって、慰め主なる聖霊は、時間と空間を超越しつつも双方の中に宿っておられる。同じ御霊が任務に遣わされ、この罪深い世界で弱い者を強くし、謙虚な者を勇気づけ、貧しい者を慰め、祝福する。この世界は、信仰と希望と愛の中ですべてを新しくする、三位一体の神の摂理と恵みによって支えられている」
今回の会合では、聖霊論に加えて、エジプトやシリア、エチオピアなど東方諸教会のある多くの国々に影響を及ぼす紛争やテロについても議論された。政府軍と反体制派の対立により戦火に見舞われたシリア北部の都市アレッポでは2013年、シリア正教会東方諸教会)のアレッポ大主教ヨハンナ・イブラヒムと、アンティオキア総主教庁ギリシャ正教)のアレッポ大主教ボーロス・ヤジギが拉致される事件が発生した。2人は現在も行方が分からない状況で、会合では2人のためにも祈り、アイルランド聖公会のダブリン大主教マイケル・ジャクソンが次のように語った。
「こうした悲劇は、神学や祈りにおいて避けられない問題です。このような残虐行為は、私たちの討論や心遣いの対象でもあります。人間社会におけるこのような荒廃は、私たちが深く考えなければならない喫緊(きっきん)かつ悲劇的な問題です」
東西教会の分裂(大シスマ):ローマ教皇を首長とする西方のカトリック教会と、東方の正教会が11世紀に分裂したこと。フィリオクェ問題も分裂の主要な一因となった。西方教会は、カトリック教会の他、カトリックからその後分かれた聖公会プロテスタント諸教会を含み、東方教会ロシア正教会などの正教会ギリシャ正教=Greek Orthodox Church)のほか、大シスマ以前に分かれていた東方諸教会(Oriental Orthodox Church)などを含む。今回の合意は、西方教会聖公会と、東方教会東方諸教会によるもの。
英国発祥の聖公会は、カトリックプロテスタントの中間に位置する教会とされ、現在は世界165カ国以上に広がる。英国国教会カンタベリー大主教に指導的地位が認められているが、主に国家ごとに独立した組織で自治を行っており、各聖公会は世界的な共同体「アングリカン・コミュニオン」(全世界聖公会)を形成している。東方諸教会は、エフェソス公会議(431年)やカルケドン公会議(451年)において異端とされ排斥されたグループで、シリア正教会アルメニア使徒教会コプト正教会エチオピア正教会などが該当する。