順天堂大学医学部樋野先生の、第226回「がん哲学学校」報告

順天堂大学医学部樋野先生の、第226回「がん哲学学校」報告

「 感謝申し上げます。

226回「がん哲学学校」
60代になっても、自分のことしか考えていないなら恥と思え〜個性を引き出す〜
東京情報大学 看護学部での『病理学』の授業に赴いた。『がん遺伝子 と がん抑制遺伝子 の定義と代表的な遺伝子』&『先天異常の原因と分類』を問うた。生徒の熱心な学習態度には大いに感動した。「純度の高い専門性と社会的包容力」は、医療者にとって『教育的配慮 & 生活支援』の絶対性大原理でもあろう。

公益財団法人 高松宮妃癌研究基金 第48回国際シンポジウム『がんと宿主のクロストーク;Complexity in Cancer-hostCrosstalk』(パレスホテル東京に於いて)に出席した。日進月歩のがん研究の最新の学びの時であった。
このシンポジウムは、当時の、国立がんセンター総長:杉村隆先生、癌研究会癌研究所長:菅野晴夫先生の導きであった。学問の連続性は『人脈を通して流れる』である。

筆者は、医師になり、癌研究会癌研究所の病理部に入った (1979年)。そこで、当時、癌研究所所長であった、菅野晴夫先生との、大いなる出会いに遭遇した。
菅野晴夫先生に、フィラデルフィアの Fox Chase Cancer Center の Knudson博士の下で「Scienceを学んでくるように」と留学 (1989年)の機会が与えられた。1991年には、癌研実験病理部部長として、帰国するようにと指示を頂いた。
その菅野晴夫先生 (1925年9月13日—2016年10月30日) も享年91歳で、逝去された。「30代は、人に言われたことを、がむしゃらに行い、40代で、自分の好きな事に専念し、50代で、人の面倒を見るように、60代になっても、自分のことしか考えていないなら、恥と思え」と教わった。
30代で留学し、今、60代となった筆者にとっては、2人の恩師との出会いは人生の” two-hit ” と言えよう。

筆者が、理事長を務める第5回日本結節硬化症学会学術総会『テーマ:結節性硬化症治療ガイドラインと長期経過』(東京都立小児総合医療センターに於いて)に参加した。これも『遺伝性癌の父:Knudson博士』との流れで生じた。医療者・患者・家族など多数の参加者であった。
筆者は、ワークショップ「TOR阻害剤導入後の結節性硬化症治療とガイドライン」の座長を行った。「病気であっても、病人ではない」&「遺伝病も単なる個性である」を語った。これは、人類の進むべき方向であろう。患者の「個性を引き出す」時代到来でもあろう。」