留学中両親からの手紙9通 その3
留学中両親からの手紙9通 その3
★ちいロバ聖書集会の矢倉光子姉が、留学中受け取った両親からのお手紙9通データ化してくれました。
☆1966年初夏 留学中、父泰二よりの手紙
「御便り拝見致しました。
貴地にて出産の由何やかやと困難な事と種々ある事と思いますが、二人で苦しい経験を味わうのも長い一生を強く生き抜くための階段です故、くれぐれも健康に注意して下さい。
岩手の御両親にもその由連絡して下さい。
母もその後、恵美子も学校が始り近所の先生も病院へと申されました故、四月十九日に墨東病院に再度入院致しました。病院では中々の顔役です(何度も入院しているので)故かへって気分的には好い様です。目下の處大分貧血しているので毎日輸血をしています。その結果、顔色もよくなりましたが、何分長い間病床にありました故すぐ全快とはまいりませんが、君達の帰朝迄には元気になり孫の顔を見る事を楽しみに病気と闘って居ます。
良くなる様御祈り下さい。
尚申越しの金は七月下旬か八月初旬に送金致したく、方法等について近日中に寄居にも行って来たいと考えて居ます。
先は取急ぎ」
☆1966年初夏 留学中、母典子よりの手紙
「久し振りの手紙うれしく見せて頂きました。其の後も二人共元気の様で何よりです。そちらも大分暖かくなった様ですね。君代さんもすっかり慣れた事と思います。もう一年たったのかと思うと夢の様です。
東京も桜はとうに過ぎましたが、今年は中々気候がきまらず割合に寒い日が多い様です。でも昨日(二十七日)からは急に湿度があがって六月の末位の陽気とかで気持ちが悪い程です。私も二月末に退院しましたが、まだ寒かった為か熱を出して三月一杯家で休んでいましたがどうも熱がさがらず、四月八日にまた入院し今日も病院で手紙を見ている始末です。家の方はてる子さんがよくやってくれますので心配はないのですが、何しても皆に心配ばかりかけて心苦しく思っています。衣類の方なるべく早く送りたいと思っています。
先日もてる子さんがそろそろラーメンを送ったらと申して居りました故、それと一緒に送りませう。だんだん暑くなるから冷しそばの出来る様ゆでるのもいれる積りです。
其の後家の者も私の外は皆元気にやっている様です。三郎が此の頃グングンのびて来て義男を追い抜く程で武夫に似て来たと皆に言われています。美喜子がとても可愛くなって色々芸を覚えて皆を笑わせています。お父さんが早く帰って外へ連れていくのですっかりなついて後ばかり追いかけています。
杉浦のところでも元気に過して居ります。中村のところは松戸の八柱霊園の近くに家を借りて居りましたが、すぐ前の家が世田谷の方へ越す事になったとかで其の所を買い此の前の日曜日越しました。当地は其の内知らせます。先日叔父さんが病院に来てくれまして、貴方がハーバードへ入れる様になったと話しましたら大変喜んでくれました。信子は金澤へ転任になってから元気の様でしたが、子供が出来たらしく此の頃少し具合が悪い様です。でも之は仕方がないでせう。
幸子さん(父の従姉妹)は先日一寸見えましたが、ますます元気で今度名古屋の国立大の音楽の先生になったので、一週の内三日は名古屋に住む事になるそうです。東京にも弟子もいるし自分も先生のところへゆかねばならないので、新幹線で往復するので月給はパーだとぼやいて居りました。あき子さんは其の後元気の様です。
私も此の処熱がすっかり収まりましたから、近日中に退院出来ると思います。寄居の先生達のところへもスライドをかえして行く筈のところ、私の病気続き等でそのままですが近日中皆で行きたいと申していました。では体に気をつけて下さい。母」
☆1966年 春 留学中、母典子よりの手紙
三月も今日は二十五日。残り少なくなりました。私も一月半ばから入院して二月二十六日に帰りました。帰ってから又熱を出してしまったので、此の頃やっと起きられる様になりました。
そちらはまだ雪の降る事があるさうで大変でせう。君代さんも一年になって大分慣れた事でせうが、アルバイトばかりでは本当に気の毒です。
今度の武夫の手紙でハーバード大学への入学がきまったそうで何よりでした。米国でも一流の大学との事で之からも中々大変と思いますが、将来の事を考えたら其の苦心もきっと報われる事と思います。私も二人の帰るまでは何としても生きていたいものと思って一生懸命養生して参ります。
恵美子も後二年で短大が出られますし、三郎も来年は高校へ行く様になりますし、もう一息と思っています。
働きながら勉強する事は随分大変だと思います。之からは尚の事勉強が大変でせうが何もしてやれなくて心苦しく思っています。之から一二年そちらで暮らすとなると貴方のズボン、Yシャツ類が困るのではないでせうか。寸法でも知らせて貰って少し送りませうか。
それから先日は恵美子に入学祝を有りがたく頂きました。恵美子に礼状を出す様申して置きましたが、中々お変人だから気がむかないと書かないでせうから君代さんにもくれぐれもよろしく申して下さい。
美喜子もいよいよ元気で大あばれしています。何しても丈夫なので助かります。今の処いいお顔、おつむてんてん、バイバイ、ちょちちょちと大分芸をして皆を笑わせています。
お母さんが入院している時、貴方達のところに男の子が生まれた夢をみました。そちらはきっと初子が男の子だと思います。色々将来の事を考えるととても今死んではいられないぞと思うのですが、こんな時に人騒がせをしては困ってしまいます。暖かくなれば又元気になれると思いますが、当分外へも出ないで静かにしていませう。
では二人とも体に注意して下さい。母」