2015年10月31日(土)③敬愛する順天堂大学樋野興夫先生からの報告

2015年10月31日(土)③敬愛する順天堂大学樋野興夫先生からの報告

感謝申し上げます。
樋野興夫

第135回「がん哲学学校」
生涯学習の実践の場」〜『「他者」の概念』〜
 筆者は、かわさき市民アカデミー講座「広がる生命科学の世界」(川崎市生涯学習プラザに於いて)で「がん細胞の知恵に学ぶ」と題して講演する機会が与えられた。
 会場は一杯で、大いに盛り上がった。年齢・男女に関係なく多数の参加者の真摯な眼差しには、大いに感激した。定年退職後、この様な集まりの場が提供されるのは、大切であろう、まさに、「生涯学習の実践の場」ともなる。

 筆者は、代表世話人を務める、月1回の「お茶の水がん学アカデミア第118回集会」に出席した。この集会は、筆者が癌研から順天堂大学医学部に就任した時に、スタートしたものである。今回は、「免疫チェックポイント」と「深部子宮内膜症」についての学びであった。学問は日進月歩であり、日々勉強である。

 筆者は、幹事を務める、定例の南原繁研究会(第138回)に参加した。今回の箇所は、『南原繁著作集 第二巻』から「フィヒテの政治哲学」であった。改めて、『「他者」の概念』の学びの時であった。
 思えば、東大の学生時代、矢内原忠雄に師事され、また東大医学部小児科教授でもあった、今は亡き、鴨下重彦先生と、2014年に立ち上げたものである。当時を想い出すと、涙なくして語れない。
 今年も、11月3日 文化の日に、第12回南原繁シンポジウム「南原繁と戦争〜日中戦争・太平洋戦争からの教訓〜」(学士会館に於いて)が、企画されている。タイムリーなテーマでもあろう。多数の参加予約が入っているとのことである。
 「継続は力なり」である。筆者は毎年「閉会のあいさつ」の任が与えられている。

 筆者は、浪人時代に、南原繁が東大総長時代に、東大法学部の学生であった人物に出会い、それ以来、南原繁——>矢内原忠雄——>内村鑑三——>新渡戸稲造へと読書遍歴が、大河の流れになった。
 浪人しなかったら、この出会いもなかったであろう。まさに、「良い先生・良い読書」の人生邂逅の絶対性大原理である。

 筆者は、武蔵野大学看護学科の1年生に「病理学」の授業、早稲田大学では、「生活の安全を科学する〜がん細胞と化学発がん〜」の講義を依頼された。『「教育とは、すべてのものを忘れた後に残るもの」である。』の心得の日々でもある。