畏友樋野順天堂大学医学部教授のアジアからの便り

畏友樋野順天堂大学医学部教授のアジアからの便り

「感謝申し上げます。
アジアの旅でした。
樋野興夫

第121回「がん哲学学校」
勇気と優しさ〜未来にプゼント〜

「中国(江蘇)-日本医療技術研究会 & 江蘇省訪日研修医師交流会」(南京)から帰国後、直ぐにバンコクに向かった。
機内では、映画『シンデレラ』を鑑賞した。不条理な境遇にあっても、主人公 Ellaの「勇気と優しさ」には、感涙した。まさに、「不朽の名作」である。「今の時のいろいろの苦しみは、状来私たちに啓示されるようとしている栄光に比べれば、取るに足りないものと私は考えます」(ローマ人への手紙 8 章 18 節)が、筆者の心に鮮明に甦って来た。

 バンコクの Mahidol 大学、Ramathibodi Hospital では、講演「国際環境発がん制御研究〜難治性中皮腫の総合的治療戦略〜」の機会が与えられた。学長をはじめ、病院あげてのおもてなしには、大いに感激した。
 その後、バンコク豊田通商の本社を訪問する機会が与えられた。豊田通商PSPの方々とは、モデル事業の夢を語った。翌日は、国立 Nanotechnology センターを訪問した。タイとの国際共同研究が展開・実現する予感を得た、有意義なバンコクの旅であった。

 土曜日、早朝帰国し、本業の「病理診断」を行い、午後は、「がん哲学外来入門〜生かされている意味〜」(ひばりが丘教会)で講演をする機会が与えられた。
「忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出す」(ローマ人への手紙5章3〜4節)を語った。その後、東京体育館では、『医療と患者の隙間を埋める「がん哲学」〜馬を下りて花を見る 対話学のすすめ〜』の講演であった。夕食をしながらの懇親会は、大いに盛り上がった。今後、「日本橋 がん哲学外来カフェ」、「湘南 がん哲学外来 カフェ」が開設される予感がする。
また、仙台では、「青葉城記念 がん哲学外来カフェ」が、開設されるとのことである。

今回は、時間的・身体的には、過密なスケジュールであったが、心は充実した時を与えられた。日曜日の午後は、「がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし1周年記念特別セミナー」で、講演「ほのぼのとした人間関係〜安心・安全・安息〜」である。
 南京、バンコクの連チャンの旅にあったが、東京が、最も蒸し暑かった。東京の暑さは、異様な程である。
日本国の「先楽後憂=劣化」が、心配になる日々である。「先憂後楽」を、未来にプレゼントしたいものである。