畏友順天堂大学樋野興夫先生よりの便り

宮村先生

感謝申し上げます。
樋野興夫

第94回「がん哲学学校」
「思いやりのある、人生を位置づける 処方箋」〜「愛は近きより」〜

筆者は、医師を対象とした医療技術セミナーの新春記念セミナー特別企画(東京)で「“がん哲学”外来に学ぶ〜がん患者さんと家族へのケアの重要性とポイント〜」のタイトルで講演する機会が与えられた。「“がん哲学”の真髄の何たるかを学ぶ」と、チラシには謳われていた。次回は、「実地医家のためのアスベスト中皮腫疾患の診断と治療」とのことである。2005年のクボタショック以降、アスベストによる健康被害が明るみになり、2014年10月9日には、最高裁アスベストによる健康被害について初めて、国の責任を認める判決を下し、国はアスベストによる国民の身体への被害を最小限にし、健康を確保するための速やかな対応が求められている。今日は、阪神・淡路大震災(1995年1月17日)から、20年である。地震国の日本国にとっては、第二のアスベスト問題を招かぬ為にも、「アスベスト中皮腫疾患を学ぶ」ことは、「先楽後憂」でなく「先憂後楽」の備えでもある。来週、筆者は、東京土建国民健康保険組合で講演「アスベスト健康教室:中皮腫発症前診断の重要性」を依頼された。

成人の日(2015年1月12日)、「大坂がん哲学外来 メディカルカフェ あずまや 2周年記念イベント」で、特別講演『がん哲学外来~「愛は近きより」〜』をする機会が与えられた。スタッフの働きには、大いに感動した。年末には『勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来シンポジウム「医療維新の発祥:21世紀の勝海舟出でよ!~いい覚悟で生きる〜」』が企画されているようである。驚きである。まさに、「世界に通用する、冗談を実現する胆力」の時代的要請でもある。

「樋野先生は今年も寅さんですね。もちろん ふーてんではありませんが、寅さんの独特の軽さ、優しさ、親しさ、他人への思いやりで全国を駆け回ってください。」と、心温まる、激励のメールを頂いた。まさに「機会を十分に生かして用いない。」(エペソ人への手紙5章16節)の実践である。また、この正月休みに、新刊『いい覚悟で生きる』(小学館)を読んで下さった筆者の恩師:菅野晴夫先生から、「テイネイに全部、ゆっくり読ませてもらいました。大いに感銘しました。これはまさに賢者の書であると感じました。」の温かいコメントを頂いた。これこそ「思いやりのある、人生を位置づける 処方箋」である。