「玉城デニー新知事誕生 国が潰せなかったウチナーのチムグクル」

月桃通信No7 2018年10月6日
                                    石原つや子

玉城デニー新知事誕生 国が潰せなかったウチナーのチムグクル」

私たちの長男忍望(にんぼう)が、1982年三重県の全寮制農愛高校高校へ入学することにより、石原ご夫妻と出会いました。
 忍望のクラス担任尾形先生の紹介で、1986年4月忍望を置いて、家族で沖縄へ移住するに先立ち、無教会那覇聖書研究会の宮城ご夫妻に出会いました。夏油通信がクリスチャントゥデイで掲載さている背景にある、主なるお方の忍耐深い備えと心得ています、感謝

 月桃通信No6で私は強い危機感を持ってあの文章を書きました。
それは名護方式というあの名護市長選挙での敗北が悪夢のようにつきまとっていたからです。
 もし名護方式で知事選に敗北したらもう後はないと思いつめ最悪までも考える中で唯々神の助けを祈っていました。そして凄い奇跡が起きました。安倍政府の沖縄潰しにウチナーは勝ったのです。その喜びはたとえようもなく大きく私達は抱き合い涙を流して、カチャーシーを踊って喜びました。みんなみんな時間も体力もいとわず全力投入で草の根市民の選挙運動に頑張りました。
 本土からの仲間達も大勢かけつけて応援して下さいました。ひとつ思いで戦った私達みんなの顔は輝いていました。私もナイチャーでありながら夫よりもウチナーンチュになってしまった自分が皆さんと共に居ることを喜びウチナーンチュの一人として生かされている幸いをかみしめ、今日まで導いて下さった神に感謝しました。

 安倍政権のこの選挙にかける介入はすさまじいものでした。
菅さん3回、小泉さん3回、竹下さんは1ヵ月、他に小池百合子さん、石破さん、岸田さん政府の要人、公明党員など、沖縄に潜入、へばりついてサキマさんの当選に政府挙げて沖縄潰しにかかり、まるで安倍政府とデニーさんとの対決の様相となりました。
 サキマ候補は政府の言いなり、辺野古のへの字も口にしてはならないという方針に従い、辺野古には全くふれず、対立ではなく対話をキャッチフレーズにして県民の暮しが最優先だと自分が知事になれば何でも出来るとうそぶきケイタイ料金の40%カットを実現するとの甘い言葉を並べ立て自信満々でした。然しサキマさんの親分は安倍であって安倍の嘘をそのままに甘い水を飲ませようとしたのでした。
 だんだんと県民にも背後にある安倍政府のひどいやり口が見えてきたのだと思います。ネット上ではデニーさんへの誹謗中傷はひどく人権侵害で訴えたい内容でしたが、それにも屈せずデニー陣営からの相手への誹謗中傷はありませんでした。
 サキマ氏優勢の世論調査の情報がかけめぐる中、危機感を持った幹部達は翁長雄志夫人の樹子さんに何度もお願いしてとうとう9月22日の決起大会に翁長樹子さんが一大決心をなさって壇上に立って下さったのです。
 樹子さんは、強権的に辺野古新基地建設を進める政府を痛烈に批判し
「県民の心に1ミリも寄り添おうとしない相手に譲れない」
「ウチナーンチュの心の中をすべてさらけ出してでも必ず勝利をかちとろう」
「残り一週間です、簡単には勝てない、それでも簡単には負けない。」
 雨の中、涙を流し訴えました。
「翁長は雨男だったから今日のこの雨は翁長がここに居てくれることだ」と語られ、集った8000人の私達は樹子さんと共に涙を流し、翁長さんの遺志を継ぎ、辺野古に新基地は造らせないという強い意志を再確認しデニーさんと一体となって新たな選挙戦へと勇気百倍再出発できたのでした。
ぬちかじり(命のかぎり)ですよ、天から翁長さんが樹子夫人と一体となって叫んでいる声が本当に聞こえたように思いました。

 この大会で潮目が変りデニーさんへの風が吹き始めたように思います。玉城デニーさんは多様性を重んじ、誰一人として切り捨てない社会を、新時代沖縄はみんなで創りましょうと呼びかけ翁長さんの遺志を受け継ぎ、辺野古に新基地は絶対に創らせないと、ぶれない堅く強い決意を表明されました。父親が米兵という出生もあって、戦後の沖縄の歴史を背負った方、苦しみ悲しみを体験され豊かな人間性を持った方、何よりも私達庶民の代表としての親近感があります。市民目線で一人一人の話を聴き、向き合い大切にして下さる方です。今迄にない知事のタイプだと思います。選挙戦でのデニーさんを見ていると、どんどん強くなり成長されていく姿が見てとれます。まさに私達がデニーさんを支え成長させる存在なのです。これからは決して分断されないよう苦労なさるデニーさんを真剣に支えていかなくてはなりません。
 
 投票日の前日29日、台風24号直撃、また就任日(10月4日)台風25号襲来と二つの台風にみまわれました。農作物を始めとして大変な被害が出ています。緑美しい沖縄は茶色に変ってしまいました。何故二つの台風なの、穏やかな中にあってほしかったのに‼私にはこの二つの台風がデニーさんの前途の厳しさ、その苦難を象徴しているように思えてなりません。私達一人一人にデニー新知事を支えていく決意が求められています。

 今回の選挙で最も気にかかることは若者達の動向です。サキマ陣営で熱心に活動する若者達のグループがありました。彼等は何を思い何を考えてサキマさんを支持しているのでしょうか。背後にある安倍政権の実体が見えているのでしょうか。若者達の話を聞いてみたいと強く思いました。次の時代の沖縄を作るのは彼等です。彼等の考えを知り、理解し、絆を結び、本当のことを真実を彼等に語り伝えていくのが私達の役割ではないでしょうか。

 平和は人から始るのですから。今回の選挙に勝利しても、ウチナーの内奥に平和とは逆の思想、考えが若者達を捉えてしまっていたとしたら、ウチナーのチムグクルは失われ、危機を迎えることでしょう。大切なのは今できることを、若者と共に語り学び合うことを、具体的に積み重ねていかなくてはいけないということです。

 翁長さんは言葉の力をとても大切にされ、いつも言葉を考えておられたそうです。訴えたのは沖縄の歴史、苦悩、誇りでした。翁長さんの発する言葉には命があり、血が通っていました。
 そして安倍さんの嘘の言葉の空しさが一層際立って分りました。言葉と品格において、いつも勝っていました。言葉は生きて人の心にとどまり、次世代を教育し支える力を持っています。
 聖書の言葉…初めに言があった、言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。(ヨハネ伝)

翁長雄志前知事の言葉から
●ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー
(沖縄の人の心をないがしろにしてはいけませんよ)

●沖縄以外の都道府県で日米両政府という権力と戦ってきたところはありますか。ないでしょう。こんなにも長く戦ってきた沖縄県に対してお前ら勝てるのか?という視点で見るから政治は何も変わらない。堕落の政治だ。

●県民の気持ちには魂の飢餓感があり、それに理解がなければ個別の問題は難しいと話した。(菅官房長官と)

●政府は沖縄県民を日本国民とは見ていない。

●あぜんとした。裁判所は政府の追認機関であることが明らかになった。(辺野古違法確認訴訟)

●将来は沖縄にアジアの国連みたいなものがあり、中国、北朝鮮、フィリピン、ベトナム、みんな来ていただき経済活動の拠点化を目指す。

●われわれがどう話しても大きな力が押しつぶして、通り過ぎていく。国家の品格を信じられなくなるくらいさみしいことはない。

●ヌチカジリ、チバラナーヤーサイ(命の限り頑張りましょう)

◎次男、雄治さん(那覇市議)の言葉
 父は生前、沖縄は試練の連続だと。
 しかし一度も、ウチナーンチュとしての誇りを捨てることなく闘い続けてきた。ウチナーンチュが心を一つにして闘うときにはお前が想像するよりもはるかに大きな力になると何度も何度も言われてきました。

 今回の選挙ではかなりの公明党の人達がデニーさん支持に回りました。このことは、組織力で人の自由意志を縛ってはならないことを勇気ある沖縄の公明党の方々が教えて下さいました。
 良心に従おうとする勇気ある一人の行動が他の党員を勇気づけて組織を打ち破ってくれたのです。このような一人の存在があるかないかが重要です。決して私達は弱い一人ではないのです。

沖縄のことをわがこととして考え、祈り、支援して下さるお一人お一人に心より感謝申し上げます。
 8万票余の大差での勝利は安倍政権に大打撃となり長期独裁政治にも陰りが見え始めています。
 憲法改正を成しとげようとするこの政権をしっかり見張り、絶対に憲法改正を許さず将来に禍根を残さないよう共に闘って参りましょう。
 ご支援本当にありがとうございました。

星野富弘さんの詩

ちいさいから踏まれるのさ
弱いから折れないのさ
たおれても、その時もしひまだったら
しばらく空をながめ
また起きあがるのさ

2018・10月6日
石原つや子

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