忍耐と希望(ローマ8:25)の原点への旅 その1 ★1963年8月12日、ニューイングランドのGordon Divinity School・ゴードン神学院へ向け横浜を出航。

忍耐と希望(ローマ8:25)の原点への旅 その1

1963年8月12日、ニューイングランドのGordon Divinity School・ゴードン神学院へ向け横浜を出航しました。
 2週間の船旅とニューイングランドに到着直後、ゴードンでの生活の日々の一口日記メモを、ちいろば聖書集会の矢倉(鮫島)光子姉が打ち出してくださいました。ゴードンは、私たち夫婦にとり、忍耐と希望(ローマ8:25)の基盤メッセージを心に刻まれた地であり、長男忍望の誕生を迎えた地。

 2018年6月下旬の日々、今、クリスチャントゥデイを中心に与えられている忍耐と希望(ローマ8:25)の旅を一歩深め、一段と進展する歩みに整えられるため、若き日の忍耐と希望(ローマ8:25)の原点への旅、その一口日記がそれなりに用いられることを願う。

★8月12日(月)出港
 船中にて、最初の晩の眠りにつこうとする。実感として、すべてに日本を去れたとの気持ちにはなれない。。しかし周囲はすでに、日本語から離れた世界である。言語の手段としての重要性を痛感する。
 中国系の人々の多いのには驚くばかりである。香港その他から来ているので、すでに船中での生活に慣れているのであろうが、それにしても、その社交性、生活力はただ驚くばかりである。同じ船室にも、二人の中国人がいるが、全く、我家同然の生活ぶり。
 送りに来てくれた人々の姿が目に浮ぶ。君代の悲しみをかくした姿。家族の思い出、これからの生活の糧になろう。

★8月13日(火)
 生活にも慣れて来た。勿論全く自由になったというのでない。こうした環境の変化にも、本質的なものは何ら変化しない事実を知って、増々自分の中に生じ始めている求道の中に進み続ける決心をする。
 海の大きよりは、海も又限度がある、即ち被造物に過ぎないものであり、その皆後にある大いなる存在を感ぜしめられる。
 日本人船客に対するOrientationにより、船中での生活のruleを知り得た。中国系の人々の数と彼等の積極的な社交性のために、日本人の存在はそれ程注目を引かないが、かなりの人数の日本人が乗船している。
 中国人(香港から乗船)は学生も多いせいか、自分に対して好意的であり、話し合うのは皆彼等である。何より、彼等の体内から発散して来る生活力に圧倒される。又英語を自由に話している彼等の姿を見ていると、不安を感じる(自分の会話力に対して)。
 彼等の明るさ(男性も女性も)彼等のスピードのある中国語の会話を耳にしていると、国家と民族の関係について考えさせられる。我々は日本民族という観念と同時に、いやそれ以前に日本の国家を意識している。上からの権力体制の下に支配されている国民の一人としての意識が、血による民族意識より先に来ているようである。それで、こうした国家体制の直接的支配から離れた場所においては日本人同士の結びつきは比較的うすれている。
 それに反して、中国人は、国家意識より以前に民族意識を強く体内に感じているように思われる。それ故、国家権力から離れていても、常に仲間意識に徹底して行動出来るのではなかろうか?とにかく中国人を身近に観察出来て、彼等と接する機会を与えられているのは自分にとって有益である。

★8月14日(水)
森有正著、『城門のほとりにて』を読む。まだ本書の中心課題を察知出来ない。とにかく、これからの精神生活でひとつの導きとなる事だけは確かである。

★8月15日(木)
 今までになく、船の揺れを感ずる。佐藤幸伸君(日本クリスチャン・カレッジ1学年下、同じくゴードンへ)は気持が悪いと。
 中国人の女性のもつ、生き生きとした生活力に驚かされる。この船にいる若者たちは、それぞれの国でどのような立場にあるのであろうか?

★8月16日(金)
 金曜日が二日あるとのこと。今日は Friday。Foreign Student Advisorについて、又一般的な生活ruleについてのOrientationがある。
 インドネシアから来た学生と話し合う機会があった。中国系の青年であったが、香港その他の場所から来た人々とは大変な差である。日本の工業力、経済力を心から尊敬している。さらに個人的問題より、政治的国家的問題に最大の関心を示している。特に驚いた点は、戦争中の日本軍の行動の意義をある程度認めており、日本軍によって、マレー、インドネシアは欧米諸国の植民地から解放されたと考えている。
 原爆問題についても大きな関心を示している。もっと英語を自由に話せたなら、日本が直面している矛盾について詳しく話せるのに、残念に思う。
 午後の集会は、地域別でNew Englandの学校に行く学生は、10人内外であった。同志社を卒業してアンドーバーニュート・ニュートン神学校に行く茂兄に会う。8時からの交わり会には、中国人が十人以上、日本人三人魚木宣教師が、コロサイ1:16〜から創造主、導き主、救い主としてのキリストについて話される。中国系の人々の信仰のあり方について、我々との比較しながら、色々教えられる。