聖書をメガネに 『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』に学ぶ基本メッセージ 宮村武夫 再録

聖書をメガネに 『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』に学ぶ基本メッセージ 宮村武夫 再録

M・スコット・ペック著、森英明訳『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』(2011年、草思社文庫)
http://www.christiantoday.co.jp/articles/24487/20170923/seisho-wo-megane-ni-97.htm
M・スコット・ペック著、森英明訳『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』(2011年、草思社文庫)
かなり長時間をかけて熟読、やっと、あるいはついに読了しました。いろいろ線を引いたり、書き込みをしたりしました。ですから、本書の細部からも、新鮮な示唆を幾つも受けました。
しかし、今回報告したいのは、私なりに把握できたと判断する本書の中心点です。著者は、「悪」を軽視も、まして無視もしない。本書の副題、「虚偽と邪悪の心理学」が、この事実をよく表現しています。
悪の実態は、本書の書名、「平気でうそをつく人たち」が、物の見事に指摘します。そうです、うそです。
(1)あることをないかのように言う
(2)ないことをあるかのように言う
この両面を持つ1つの実態(参照:ヨハネ8:44)。しかし、同時に注目すべきは、著者は、善悪二元論のように、悪を絶対視しないのです。
本書と並行して、毎日の「宮村武夫牧師5分間メッセージ」準備の1つとして読んでいるアウグスティヌス著『ヨハネによる福音書講解説教2』の66、67ページが、1つの明確な手引きを与えてくれました。ヨハネによる福音書6章70、71節に見るイスカリオテのユダについての記述を講解している文書です。
私なりに要約すると、以下の点を含む基本的恵みを無駄にする(Ⅰコリント15:10)事実です。
(1)悪、悪人は神のすべての善を悪用
(2)神は悪人の悪しきわざをも善用
「悪人は神のすべての善を悪用し、それに対し善人は悪人どものなした悪をも善用する」
「主は彼の悪事を善用したもうた。主はわたしたちを贖(あがな)うために、自分が裏切られるのに耐えられた。見よ、ユダの悪事は善に変えられた」
アウグスティヌス著『ヨハネによる福音書講解説教2』66、67ページ)
M・スコット・ペックが本書において提示しているのは、アウグスティヌスが聖書の講解で提示している善と悪の関係であり、最後には善が勝つという希望についての彼独自の心理学的説明です。そうです、悪は愛によってのみ封じ込め得るとのメッセージです。
1963年から72年まで、M・スコット・ペックは、沖縄勤務を含む9年間、米軍所属の精神科医として働いています。その間に、米国のベトナム政策やベトナムでの米軍の行動に大きな疑問を持ち、そうした経験と思索を通して、本書5章「集団の悪について」が記述されています。
私は、1963年から67年、ニューイングランドに留学。1986年から2011年まで25年間沖縄に滞在したこともあって、上記の「集団の悪について」の記述が心に深く刻まれました。」
★沖縄での現状。そして小なりとは言え、クリスチャントゥデイをめぐり生じている事態。そうです、その両者は,創世記3章の有名な、エバへの蛇のいざないの記事から、Ⅱペテロ2章のにせ預言者の記事まで、聖書を貫く情報の混乱の中で神の恵みの事実を見抜く洞察力の課題と結びつき、クリスチャントゥデイも、その課題に応答を問われています。
(1)どんな大きな人、権力にもたじろがない
(2)どんな小さな人、小さなこともあなどらない。
たじろぐ者が、しばしばあなどる者になると自戒し、主に支えられて、直面する課題に応答したいのです。アーメン。