「憲法9条」は人類の叡知 忍び寄る戦争への歯止め
「憲法9条」は人類の叡知 忍び寄る戦争への歯止め
「憲法9条をノーベル平和賞に推す神戸の会」(略称 推す会)
総主事 岩村義雄
「剣を打ち直して鋤とし 槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず もはや戦うことを学ばない。」(ミカ 4:3)。
世界最古の文明の発祥地チグリス・ユーフラテス河畔のシリアはもはや終わりのない人類最大の悲劇の大地と化してしまいました。
過激派組織「イスラム国」(IS)のナイフによる斬首を悪魔の所業と世界に恐怖を宣伝しながら，空爆により無差別にシリア市民を殺戮するアメリカは正義と言い切れるでしょうか。
市民ジャーナリスト集団“RBSS”(Raqqa is Being Slaughtered Silently/ラッカは静かに虐殺されている)は「イスラム国」の本拠地であったシリアのラッカを2017年追い出されました。ラッカの死者は3259人に及びます。内訳は「イスラム国」による被害者は548人にすぎません。残りの63パーセントは米軍などの空爆の犠牲になっています。
ラッカからの脱出 2017年12月28日 マリッシュの難民キャンプ
2018年2月7日 アルサール ラッカからの難民 岩村義雄撮影昨年は，ＩＣＡＮ＝核兵器廃絶国際キャンペーンがノーベル平和賞を受賞しました。地球上の多くの国々は大国の核保有にいつもおびやかされてきました。平和を希求する人類は核兵器と共存できません。「核兵器は必要悪ではなく絶対悪」，とサーロー節子[Thurlow 1932-]さんは語りました。
人道上最大の悲劇を被っているシリアにおける戦争も必要悪ではなく絶対悪ではないでしょうか。「剣をとる者は，剣によって滅びる」(マタイ 26:52)。
「憲法9条」が国連で採択されるなら，ノーベル平和賞への道は開くことを期待します。
「憲法9条をノーベル平和賞に推す神戸の会」(略称 推す会)は，今年も有資格者の130人により，受賞を目指してオスロの委員会に1月末日に発信をしました。内容は昨年と同様です。「憲法9条」が世界の宝，人類の希望になるようにという願いがこもっています。
戦前のファシズムのような全体主義は絶対的な権力をもちます。人のいのち，人権，安寧を顧みませんでした。ですから憲法によって国の最高権力者をも縛る安全弁がどうしても必要になります。法律は民の権利や紛争に規制力をもちます。一方，憲法は権力をもつ君主，体制に対して拘束力をもちます。「朕は絶対で，お前たちがまちがっている」と君主が言うならば，だれも逆らうことはできません。人間が自分自身を絶対視し，神になるなら倒錯行為です。暗黒時代，闇，死に突入です。神を絶対にする宗教性をないがしろにし，人間を絶対にするなら抑圧，暴力，いさかいが生じるでしょう。
ヨーロッパに軍事強化の動きが芽生えています。「歴史は繰り返す」のです。歴史を知ることは，構造的暴力を自覚することにつながります。スウェーデンに続いて，フランスも徴兵制を復活しようとしています。一方，良心的兵役拒否を法制化している国々も増えてきました。アメリカ，イギリス，ドイツ，ベルギー，オランダ，デンマーク，ノルウェー，フィンランド，イスラエル，カナダ，オーストラリア，ニュージーランド，イタリア，オーストリア，ブラジルなどです。
しかし，日本のマスコミは，兵役拒否の国連の論議に無関心なのはどうしてでしょうか。社会の人権意識が希薄なことや，安倍晋三政権による憲法９条を殺す勢いに消されています。
「良心者」(英語 conchie コンチ 良心的兵役拒否者 Conscientious Objector の短縮形)は，憲法９条を護るより「活かす」平和な国であってほしいと願います。
2018年2月8日
シリア人難民キャンプ シャース
日本人が憲法９条のノーベル平和賞を受賞し，人類が願ってきた戦争に終止符を打つうねりを世界の憲法に連鎖されることを願います。
「憲法9条をノーベル平和賞に推す神戸の会」推薦人
水垣 渉(京都大学名誉教授)，岩村義雄(総主事，エラスムス平和研究所所長)，芦名定道(京都大学教授)，安仁屋政昭(沖縄国際大学名誉教授)，荒井 献(東京大学名誉教授)，荒井章三(神戸松蔭女子学院大学元学長)，家 正治(神戸市外国語大学名誉教授)，大田正紀(梅花女子大学名誉教授)，笠井惠二(中部学院大学教授)，勝村弘也(神戸松蔭女子学院大学名誉教授)，沢 知恵(歌手)，茂 洋(神戸女学院大学名誉教授)，白方誠彌(淀川キリスト教病院名誉院長)，新免 貢(宮城学院女子大学教授)，荑口昌久(名古屋工業大学教授)，郄嶋伸欣(琉球大学名誉教授)，辻 学(広島大学教授)，月本昭男(立教大学教授)，土井健司(関西学院大学教授)，並木浩一(国際基督教大学名誉教授)，西原廉太(立教大学副総長)，花岡永子(大阪府立大学名誉教授)，樋口 進(夙川学院短期大学特任教授)，久松英二(龍谷大学教授)，広原盛明(京都府立大学元学長)，本田哲郎(元フランシスコ会管区長)，宮城航一(オリブ山病院院長)，宮本 憲(神戸松蔭女子学院大学教授)，宮本要太郎(関西大学教授)，村田充八(阪南大学教授)，大野秀敏(東京大学教授)，丸井 浩(東京大学教授，日本学術会議第22期会員)，下田正弘(東京大学教授)，Albert Charles Muller(東京大学教授)，吉田善章(東京大学教授)，松永澄夫(東京大学名誉教授)，田村 毅(東京大学名誉教授)，神田 順(東京大学名誉教授)，岸田省吾(東京大学名誉教授)，上野千鶴子(東京大学名誉教授)，似田貝香門(東京大学名誉教授)，鰺坂 学(同志社大学教授)，安立清史(九州大学大学院教授)，藤井和佐(岡山大学教授)，森反章夫(東京経済大学教授)，成 元哲(Sung Woncheol)(中京大学教授)，関 礼子(立教大学教授)，岩崎信彦(神戸大学名誉教授)，犬塚 先(千葉大学名誉教授)，矢澤澄子(元東京女子大学教授)，横山和子(東洋学園大学教授)，井桁 碧(筑波学院大学教授)，古城利明(中央大学名誉教授)，浅川達人(明治学院大学教授)，岡田真美子(兵庫県立大学教授)，庄司洋子(立教大学名誉教授)，鎌田哲宏(静岡大学名誉教授)，鎌田とし子(東京女子大学名誉教授)，宮崎正美(仙台白百合女子大学教授)，山本俊正(関西学院大学教授)，川上直哉(牧師)，袴田康裕(神戸改革派神学校教授)，上脇博之(神戸学院大学大学院教授)，内田 樹(神戸女学院大学名誉教授)，ロニー・アレキサンダー(神戸大学教授)，稲垣久和(東京基督教大学大学院教授)，森田美芽(大阪キリスト教短期大学前学長)，吉田 隆(神戸改革派神学校校長)，森川 甫(関西学院大学名誉教授)，金子 昭(天理大学教授)，師岡康子(大阪経済法科大学客員研究員)，森田六朗(対外経済貿易大学教師)，俵 義文(大正大学非常勤講師)，高田 清(安田女子大学教授)，津村春英(大阪キリスト教短期大学元学長)，小森陽一(東京大学教授)，浜野研三(関西学院大学教授)，カイ・リット・フウア(モナシュ大学准教授)，北村 徹(同志社大学講師)，小林昭博(酪農学園大学准教授)，岡野治子(元清泉女子大学学長)，庵逧由香(立命館大学教授)，渡辺洋介(シンガポール国立大学)，姫田光義(中央大学名誉教授)，斎藤一晴 (明治大学講師)，大日方純夫(早稲田大学教授)，岡野彩子(関西大学講師)，中野敬一(神戸女学院大学教授)，中谷 武(神戸大学名誉教授)，安川寿之輔(名古屋大学名誉教授)，佐野通夫(こども教育宝仙大学教授)，末包厚喜(関西外国大学教授)，水野信男(兵庫教育大学名誉教授)，大鶴 勝(武庫川女子大学名誉教授)，立石一信(兵庫県立大学講師)，神田啓治(京都大学名誉教授)，玉田勝郎(関西大学名誉教授)， 阿久津正幸(東京大学講師)，廣森勝久(神戸大学名誉教授)，高橋庸一郎(阪南大学名誉教授)，森島吉美(広島修道大学教授)，吉田徳夫(関西大学教授)，段 家誠(阪南大学教授)，曽根英二(阪南大学教授)，松本邦彦(山形大学教授)，春名純人(関西学院大学名誉教授)，安田吉三郎(神戸改革派神学校元教授)，西村茂雄(大阪大学名誉教授)，Timothy Boyle(関西学院大学教授)，保田 茂(神戸大学名誉教授)，遠藤雅巳(神戸国際大学元学長)，山内一郎(関西学院大学元院長)，深谷 格(同志社大学教授)，宮地良彦(信州大学元学長)，加納孝代(活水女子大学学長)，中原隆幸(阪南大学教授)，中島謙二(甲子園大学大学院名誉教授)，鈴木敏夫(首都大学東京講師)，藤波 潔(沖縄国際大学准教授)，笠原十九司（都留文科大学名誉教授)，スヴェン・サーラ(上智大学教授)，嶺崎寛子(愛知教育大学准教授)，張 賢徳(帝京大学教授),池田真理(東京女子医科大学教授),加藤 敏(小山富士見台病院院長),長谷部 弘(東北大学教授)，杉山精一(神戸市外国語大学准教授)，坪井兵輔(阪南大学准教授)，石川康宏(神戸女学院大学教授)，大宮有博(関西学院大学教授) 130名。
