聖書をメガネに クリスチャントゥデイとは その2

聖書をメガネに クリスチャントゥデイとは その2

クリスチャントゥデイ第1回編集会議 議事録          
2014年4月11日

開催日時 2014年4月11日(金)14:00〜17:00
開催場所 小岩 宮村編集長宅
出席者(敬称略) 4名
 宮村武夫、行本尚史、内田周作、矢田喬大
欠席者(敬称略) 1名
 佐藤憲一
打合せ資料
 ・編集会議レジメ
 ・編集会議資料(1.各記者の関心・取材テーマ、2.直近の取材スケジュール、3.開設したいコーナー・企画)

審議内容
1.4月3日について各自の受け止め方確認

 宮村:若い年齢の役員がいたことが印象に残った。記者の反応がうれしそうだった。
 内田:遠くから来られた先生方の挨拶の時間がもっとあればよかった。
 行本:出会いのきっかけになった。

2.諸報告
 矢田:5月1日より事務所を「東京都千代田区岩本町2-13-6 ミツボシ第3ビル4階」に移転する。

3.各記者の関心・取材テーマ
 (1)佐藤さんのテーマについて
 行本:(「ハンセン病キリスト教」について)数年前に国が謝罪をしている。『ハンセン病キリスト教』の荒井英子さんにもインタビューした。「映画レビュー」は以前から必要だと考えていた。各テーマについて、紙媒体であれば、1面、中面など記事の位置付けがあるが、ネット掲載での記事の位置付けはどうなるのか。
 内田:各カテゴリ内に新たにページが追加できる。記者の興味に合わせて増やしていける。
 宮村:カテゴリのテーマは固定なのか。
 内田:固定はしていない。現状から増やしてもいいし、自由に編集できる。カテゴリを追加すること自体は技術的に難しくない。
 宮村:各記事がどのカテゴリに位置するのか、記者の間で理解を共有しているとよいと考えるが、どうか。
 内田:「教会」は教団などの動き、「宣教」は超教派の働きをはじめとする外へむけた宣教の働きなど、各カテゴリの内容はそれぞれに決めている。
 宮村:読者はカテゴリから記事のページに入ってくるのではないかと考えるがどうか。
 内田:読者はカテゴリからではなく、直接見たい記事から入ってくる。レギュラーの読者はトップページから記事に入っていくだろうが、現状の閲覧状況は、トップページの閲覧数が全体の2割で、あとの8割はすべて記事ページ。
 行本:「社会福祉」も扱う必要がある。
 宮村:東京基督教大学では福祉学科を他の学科と統合するのではなくて独立させた。そこでは稲垣先生がよい働きをされている。映画に関しては、フェイスブックで知り合ったオガワさんという字幕の権威を知っている。
 内田:ニュースサイトのスタイルとして、アメリカでは外部からの投稿記事が多い。ハフィントンポストはほとんど有識者の投稿でサイトが構成されている。投稿記事を増やすことで紙面の幅が出てくる。
 (2)行本さんのテーマについて
 行本:「正義と平和、いのち」はWCCが強調してきたテーマ。最近ではWEAが加わり、共通したテーマになっている。倫理的問題。取材する中では、取材対象者の言動の深層にある意味や動機を探ることをよくやってきた。最近では袴田事件が当てはまる。
     資料には書かなかったが、テーマとして加えたいのは「医療」。日本のキリスト教会で重要な分野と考える。国際会議が今年スイスで予定されている。国内でも課題がある。特に倫理的問題について。
     「キリスト教と文化」については、日本に福音が広がりにくい要因として先祖とのつながりがよく言われるが、土着文化の受容とそれによる多様な変化の流れを見ながら、音楽や美術など幅広いものを含んだものとして文化を扱っていきたい。
     資料に書かずにもう一つ加えたいのは「教育」。歴史を振り返っても教育は重要と考える。学校に留まらず、教会教育も含む。ひとつの具体例として「聖書と英語」の記事化の可能性を探っている。キリスト教教育と英語を考えると、英語が一つの窓口になってきた。
     他の宗教との関係は日本の社会においては避けられない。
     グローバルな視点も大事にしていきたい。北半球から南半球に教会の重点が移っていると言うが、その場合、そもそも日本はどちらに位置するのか。そういう議論がもっと出てきてもいいと考えている。人が国境を越えて移動することは、いまも地球規模で起きている。移住労働者、人身売買などの問題に教会がどう関わるのか。在日・滞日外国人と教会の関係も見ていきたい。国境に留まらないキリストの福音の視点からも。
     加えて、日本のキリスト教会の中で、国際的にもインパクトのある人に注目したい。過去を懐かしむだけでなく、新たに掘り起こす。聖路加の日野原さんのように、実はあの人もクリスチャンだったというような。若手のリーダーを発掘することもクリスチャン新聞でやっていた。
     教会で聖書を英語で教えるクラスを3年ほど担当していた。そのときも感じたが、万人向けに聖書を学べる教材があったらいい。それを目指している先生などはいないか。
 内田:クリスチャントゥデイにはクリスチャンでない人も訪れる。キリスト教についてわかりやすく説明するページがあってもいい。
 行本:細かな見解は分かれる部分はあるだろうが、本質的なところを説明できるものはないか。出版社としてのひとつの役割でもある。イギリスの『Simply Christian』(Tom Wright)は、『キリスト教の真髄』(C.S. ルイス)の21世紀版と言われているが、まだ日本語訳は出ていない。翻訳は進められているらしい。N.T.ライト読書会に知り合いがいる。
 宮村:「ノンクリスチャン」という用語は気をつけて使わないようにしている。読者がクリスチャンかそうでないかはわかるのか。
 内田:読者がどの単語を検索して入ってきたかがわかるが、「ノアの箱舟」「花子とアン」「村岡花子」などが多い。
 宮村:教会の中にというより、外に発信するという目的は、質的には現実となっている。私たちに与えられているとても大切なこと。
    (行本さんのテーマについて)以上のテーマをニュースとしてとらえる視点が非常に重要。表面に現れた事柄の根底に、こういったことがあるというつながりを十分に理解し、それとの関わりを書いていく。逆には、根源的な中にとどまらず、現実にはこうなっていると書いていく。
 行本:現状を追うと同時に、「信仰」と「動機」に注目したい。袴田事件でも、その人の祈りがあった。折田先生に、なぜはがきキャンペーンをしているのかと聞くと、沖縄に対する負い目があるのだと話した。米軍基地のゲート前でゴスペルを歌う会もある。
 宮村:活動をしている人たちは親しい。(取材するなら)この人、という人はいる。その一人に平良修先生がいるが、教団の中に反対がある。書けばそこから反応があることもないわけではない。だからこそ書かなければいけないこともある。現象をあちこち見るのではなく、さらにその深みへ。まずは、新聞の対象とする視点を定めること、それが取材活動。他の人との協働もある。究極的には、私たちの関心は生きた人間に対するものであるべき。
 行本:上板橋キリスト教会の火災には、すでに支援団体もできている。ぜひ掘り下げたい。どういう信仰、祈りをもってしているのか。
 宮村:そうであれば、そこに朝岡勝先生がいる。彼に連絡をとればいい。
 (3)内田さんのテーマについて
 行本:(「ビジネスマンと信仰」について)広く技術者、職人の心意気に信仰あり、といった視点もよいのでは。NHK番組の「プロフェッショナル 仕事の流儀」のような感じ。(「心のケア」について)心のケアはかなり範囲が広い。社会心理にも、インターネットのサイバースペースにこもっている人について論じる人もいる。そして精神病に関しては、治療ができるという人もいれば、治療はできないという人もいる。
 内田:夏目漱石の『坊ちゃん』にも「神経衰弱」と出てくる。
 宮村:私の主治医の著書を何冊か紹介する。多くの病気は名前がつくと生まれてくるという説もある。
 内田:日本と韓国での宣教の違いなど、日本宣教に関しての研究にも興味がある。
 行本:日本宣教学会というものがある。日韓の違いについても触れていたかと思う。
 宮村:一般に教会として良いのは数勢が増えることと言われるが、それで果たしていいのかという反省もある。逆に韓国人教会が日本の教会に関心を持っている。教会が宣教を忘れれば、教会でなくなる。救われる対象に関わっていくのが宣教。聖書を読まないでそのままでいいのかということ。聖書翻訳については、新共同訳と新改訳に関するニュースは両方流すが、できれば加えて、互いが協力してはどうかという主張をあわせて発信できたらとも思う。世界宣教については、地の果てまでというあらわれとして。
 行本:宣教とは何かという問題は国際会議でもよく話される。
 宮村:「国際」とつくと錯覚が生まれる。自分たちだけでなく他の人もやっている。
 行本:地の果てまでというと、南極などに関心が行く。
 宮村:初代教会の時代、地の果てはローマだった。私は「地方」という言葉は使わないようにしている。「地域」と言う。その意味での世界宣教。
 (4)宮村師のテーマについて
 宮村:「琉球神学」を提唱してきた。「中央」と「地方」でなく、各地域の視点をもつスコットランド地域のスコット・セオロジーという神学があるが、それに学んでいる。その意味で、クリスチャントゥデイは各地域を結んでいく働きができればいいと考える。地域神学、地域に根ざしていく。徹底して個人を見ていけば、普遍的な人間になる。これまで関心を持ってきた人たちを結べればと考えている。
 (5)矢田のテーマについて
 矢田:新聞としては、人事も含め、各教団の動きを追うことも必要と考えている。

2.直近の取材スケジュールについて
 宮村:最低でも一ヶ月前の予定を見通せるようにしたい。
 行本:沖縄に取材に行きたいと考えている。
 宮村:6月23日前後がいいのでは。毎年その時期に、内村鑑三を記念した集会が無教会の関係者を中心に開かれている。
 行本:国内ニュースを捜すことに難しさを感じている。

3.編集長から
 (1)クリスチャントゥデイと時
 宮村:新聞は時の問題。基本は詩篇31篇14、15節。私の時は主の御手の中に。「イン・ヒズ・タイム」。生ける愛のあふれる交わりの神の手の中にある。報道には、この「イン・ヒズ・タイム」、御手の中にある時の理解が必要。どんないやなこと、醜いことも、主の御手の中にある。権力に関係なく、主の御手の中にある。
     第一は、「今日」という一日の重要性。詩篇118篇24節。楽しみ、喜ぼうと。喜びは泉のように生まれてくる。この4月11日は、天と地が創られて新天新地にいたるまでの一日であって、一回性がある。一日を大切にすること。週に一度の説教では足りないと考えていた中で、思いもよらないユーチューブとの出会いがあった。毎日記事を流すことの意味がある。日刊紙としての側面をどう生かすか。その強化。
     第二は、週刊の側面。主日から主日へ。一週間は、聖書的にも意味の深いこと。日刊より掘り下げたことは週刊に、というのはどうか。これを、毎日は忙しくて見ることができなくても週刊なら読むことができるという、影響力のある人が見るのではないか。
     第三は、1カ月、一年単位の面。これは出版部門。経済的な支えにもなる。
 行本:どの記者の関心テーマにも「神学」がない。毎日でなくとも出版物を担当できる記者が必要では。
 宮村:解決方法が二つある。一つは、神学とは何かということ。神学書を書くことが神学ではない。聖書をめがねに世界を見るのが神学だと長年提唱してきた。趣味や学位のためではない。聖書を誤りのない神の言葉だという、聖書への信頼が必要。バルトも悩んだ。説教ができない中で、聖書を素朴に読んでいく中に解決の糸口を見つけていった。神学校に行かなければ神学をしていないとは思わない。
     一方でちゃんとした神学者もいる。その人の知恵を借りればよい。真面目にやっていけば、批判はあっても書くという人は出てくる。
 行本:海外のニュースを見ると、神学者の言動、国際会議での発言などもよく出てくる。
 宮村:何派かなどの狭い話ではなくて、今度の新教出版の記念講演会は、世界に通用する内容だと見ている。私がいやなのは、互いに学ぼうとしないこと。交流が少ない。ただ聖書の文字を、めがねそのものだけを見ることは、神学とは言えない。正確な、それでいて豊かなものを出していきたい。
 
4.記者の署名について
 宮村:個人的には記者の名前を出したほうがいいと考えている。記者一人ひとりに対する尊敬と、執筆に対する責任を持つという意味でも。

5.開設したいコーナー・企画について
 宮村:毎週1本のコラムは担当したい。力を入れたいのは「書評」。クリスチャントゥデイの書評はいいと言われるほどにしたい。それが目標。本が読まれないという問題があるが、本には読み方がある。一つは、どういう本をどういう風に読んでいるか。記者たちには、読者から「この記者の記事が好きだ」といわれるような記事を書いてほしい。その意味で、まずはその記者がどういう本を読んでいるか、読者に知ってもらうのも面白いと思う。もう一つは、この人、という人を選んで書いてもらう書評。もう一つは、読者からの書評。この3つ。
     ここに出ている企画のすべてについては、今日一度に話すのではなく、毎回継続して話し合うことが必要。改訂版を重ねていけば、外部の人への説明としても整ってくる。次回の編集会議までに、今回話し合われた内容を含めてアップデートしたものを内田さんにまとめてもらいたい。
 行本:他のキリスト教メディアにはない企画がクリスチャントゥデイにあればいい。「ITとキリスト教」などはどうか。
 宮村:今後の売りになるコーナーとして、続けて考えていきたい。

6.その他
 ・今後の日程確認 基本毎月第2・第4金曜日の午後2時からとする。
 第一回 日時:2014年4月11日(金)午後2時 場所:宮村編集長宅
 第二回 日時:2014年4月25日(金)午後2時 場所:宮村編集長宅
 第三回 日時:2014年5月 9日(金)午後2時 場所:宮村編集長宅
 第四回 日時:2014年5月23日(金)午後3時 場所:宮村編集長宅
以上
報告:矢田喬大