ルカの福音書身読の手引き・その48

☆沖縄で聖書を、聖書で沖縄を読む。
首里福音教会、その主日礼拝を中心にした営みの報告

『あなたも行って同じようにしなさい』
ルカの福音書10章25−37節
[1]序
(1)前後の流れ
いつものように前後関係・文脈を大切に。
10章24節まで、主イエスと直接「弟子たち」。そして11章1節以下でも同じように主イエスと直接「弟子たち」との対話。
その間に挟まれて25〜42節では、直接には主イエスと「弟子たち」の対話ではなく、対話の相手が違っています。この箇所を一つのまとまりとして見ることが大切であり、しかも前後の大きな流れのなかでその位置に注意しながら内容を味わう必要があります。

(2)10章25−42節を大きく二つの部分に分けて味わいます。
25−37節では,「それを実行しなさい」(28節)と「あなたも行って同じようにしなさい」(38節)を中心に、キリスト者・教会にとっての行為。
38−42節では、主イエスの「みことばに聞きいること」(39節)またキリスト者相互の関係の土台として、キリストとキリスト者との関係について。

[2]A、B、A
(1)25−37節、三つの部分に。
①25−29節、主イエスとある律法の専門家(A)

②30−35節、良きサマリヤ人のたとえそのもの(B)

③36、37節、主イエスとある律法の専門家、主イエスの命令(B)

(2)ある律法の専門家の二つの面
①主イエスこの人に対して、「そのとおりです」(28節)と彼の答えの正しさを認めています。
律法に何が書いてあるか、その内容の中心を正しく読んでいるのです。
27節に要約しているように、主なる神と人間の関係(申命記6:5)と人間相互の関係(レビ19:18)。

②しかしこの律法の専門家の問題、「イエスをためそうとして」(25節),「自分の正しさを示そうとして」(29節)。

[3]良きサマリヤ人に見る本来の道 
(1)サマリヤ人、「彼を見てかわいそうに思い」(33節)、「その人にあわれみをかけてやった人」(37節)。
     ↑
     ↓
 「反対側を通り過ぎる」(31、32節)。

(2)実際的な行い
そのための普段からの備えと責任を取る覚悟。
①「オリ−ブ油とぶどう酒を注いで、ほうたいをし、・・・介抱」(34節)。
当時の方法での適切な医療行為。訓練、準備。

②家畜を持つ、デナリ二つを払う用意。

③もっと費用を払う覚悟。

4]結び
(1)この律法の専門家の場合のように,質問そのものが問題である時があります.

(2)行いの大切さ
キリストの恵みの行為の故に、キリスト者・教会は一方的に恵みを受けています。
この恵みに生かされているキリスト者・教会は、一方的に受けた恵みの感謝として隣人への行い。そのためには、一つ一つ着実な備え、犠牲を払う覚悟が必要。
多くの場合、普通のことをたゆまず継続する歩みを通して備え。
 「神をわれわれの苦境の『間に合わせもの』として用いようとする時、あるいは、科学や芸術の分野における真剣な努力を単純な神の言葉によって止めさせようとする時、あるいは、いつも神をわれわれの意のままにすることができるかのように神について語る時、神の名の乱用がおこるのである」(ボンヘッファ−)。